コロナ禍 功罪半ば
「採算」販売の意識定着
2021.12.25
 今年も残り10日ほど。ここにきて真冬並みの寒波が断続的に入り込み、イライラ続きの灯油商戦にもやっと光が見えてきたが、道内石油業界の今年を振り返れば「コロナ禍と原油高に翻弄された1年」となるのか。ただ、自燃油の減販を余儀なくされる中で採算販売の意識が定着し、また、油外に軸足を移した取り組みが広がるなど、進むべき道筋もぼんやりながら見えてきた。苦境の中で業界再構築へのヒントをつかんだ、とも言えそうだ。

 今年は2月、5月、8月に大きな山を迎えることとなった新型コロナウイルスの感染拡大。とりわけデルタ株が拡大した5月には、国の緊急事態宣言が出される中で新規感染者数が本道でも700人を超え、外出・往来の自粛や経済活動の縮小が、引き続きSSにも深刻な打撃を与えた。

 ガソリンは、販売量を大きく落とした昨年こそ上回りつつも、コロナ禍前と比べれば押しなべて10%前後の減販。ある特約店経営者をして「油屋が油を売らないで何の油屋だ」と嘆かせた。8月も同様。やっと9月後半になって感染者数が減少に向かうと、今度は需給ひっ迫懸念に伴う原油価格の高騰、それを受けた製品価格の高騰で「買い控え」が出てくることになる。それも含めて今年を振り返れば「引き続くコロナ禍と原油価格の高騰に翻弄された1年」ということになるのか。

 ただ、そうした中で採算販売の意識が定着。量販店の安値攻勢にも「無視」を決め込み、適正マージン確保へ仕切り上昇分の「即刻」転嫁を繰り返していった。また、自燃油の減販を補うべく洗車やコーティング、車検などの油外に軸足を移した取り組みがこれまでにも増して広がりを見せており、それらを今年の大きな特徴とするのには異論もないはず。

 人手不足など抱える課題はまだまだ多いが、進むべき道筋がボンヤリながら見えてきた。そういうことでこの1年を総括すれば「苦境の中で業界再構築へのヒント、手掛かりをつかんだ」とも言えそう。悪いことばかりではなかったようだ。 


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

04月30日付ヘッドライン

■「採算販売」最優先に 北石連・商理事会が総会提出議案承認
■「まずは技術力磨け」 HNCが勝ち組SS応援セミナー
■基本方針への準拠求める 官公需で経産省が都道府県知事に要請
■LINEでショップカード 道エネチャレンジ西野3条SS
■油販増大へ集客策次々 東日本宇佐美セルフ山の手通宮ノ丘SS