新型コロナウイルスの重症感染症集団発生による原油相場への影響
2020.2.20
新型コロナウイルスによる3例目の重症感染症の集団発生

 WHO、厚生労働省、国立感染症研究所などによると、2019年11月に中国武漢市で新型コロナウイルスによる最初の発症例が報告され、2020年1月から武漢市を中心に中国各地で集団発生が起きています。

 2月中旬現在において、公式に報告されているだけでも中国の診断確定患者数が約3万人、中国以外の約30の地域や国で散発的な発症例が報告されています。

 新型コロナウイルスによる重症呼吸器感染症の集団発生は過去に重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)の2例が報告されていますので、今回が3例目になります。

 SARSは、中国南部の広東省を起源としたSARSコロナウイルスによって引き起こされるウイルス性の感染症で、2002年11月に中国で集団発生が始まり、WHOによると、中国広東省や香港を中心に8096人が感染し、37カ国で774人が死亡したとされています。

 SARSは、2003年7月にWHOによって終息宣言が出され、2004年まで散発的な症例が報告されましたが、2005年以降、新たな症例は確認されていません。

 MERSは、2012年9月以降にサウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生しているMERSコロナウイルスによって引き起こされる重症感染症です。

 2014年に中東地域で集団発生し、中東地域以外では2015年に韓国で同地域からの帰国者による集団発生が報告されました。

 その後も、散発的な発症例が報告されており、WHOによると、2019年11月末までに診断確定患者数は2494名、うち、少なくとも858名が死亡したとされています。


急速に拡大している中国の世界経済・原油市場への影響

 IMFから公表されている経済統計によると、2018年の中国の名目GDPは13・37兆ドルで世界シェアは15・6%、輸出額は2兆4914億ドル、輸入額は2兆1090億ドルです。 中国の名目GDPは米国の20・58兆ドルに次ぐ世界第2位の規模で、世界第3位のわが国の4・97兆ドルの約2・7倍に及びます。

 SARSが発生した2003年における中国の名目GDPは1・66兆ドルで、世界シェアは4・3%、第6位でした。第1位が米国の11・46兆ドル、第2位がわが国の4・45兆ドルで、この15年間に中国の世界経済への影響度合は格段に大きくなっています。

 一方、エネルギー市場への影響も拡大しています。

 BP統計によると、2003年の原油需要は、世界全体が8040万BD(日量バレル)、中国が578万BD(シェア7・2%)でしたが、2018年には世界全体が9984万BD、中国が1352万BD(シェア13・5%)と15年間で中国のシェアは約1・9倍に拡大しています。

 なお、わが国の原油需要は2003年が542万BD(シェア6・7%)、2018年が385万BD(3・9%)とシェアを大きく落としています。



新型コロナウイルス集団発生はSARSの際に比べ世界経済に格段に大きな影響を及ぼす可能性がある

 私は、医学の専門家ではありませんので、新型コロナウイルスの今後を予測することはできません。

 しかし、公式に報告されている症例を見る限り、SARSやMERSに比べると、重症化率は低いものの、患者数並びに死亡者数は、集団発生が確認されてから1カ月足らずの2月中旬時点ですでに2つの先例を上回っています。新型コロナウイルスが集団発生している地域の世界経済に対する影響度合がSARSやMERSの発生時に比べると格段に大きいことを勘案すると、仮に中国以外の地域や国に集団発生が広がらなかったとしても、新型コロナウイルスの集団発生の終息が遅れると、世界経済に大きな影響を及ぼす可能性が高いと思われます。

 年初に1バレル70ドル近くまで上昇していたドバイ原油のスポット市況は、今年に入ってから昨年末に原油相場を押し上げた米国とイランの関係悪化を背景にした中東情勢の緊迫がやや緩和されたことに加えて、新型コロナウイルスの集団発生による影響も懸念され、2月上旬時点で50ドル台前半まで値下がりしました。今後、SARSの際と同様、場合によっては、さらに大きな下げ要因になる可能性もあると思われます。

 原油相場は、原油そのものの需給だけで左右されるわけではありません。例えば、原油価格と米国の株式指標などとの間には相関性が見られますが、当面上昇しにくい状況が続くと思われます。




北海道のガソリン価格予想
2月24日(月)から3月1日(日)まで
変わらず
値下げの動きもあるが、仕切り価格は小幅ながら上昇

02月20日付ヘッドライン

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