容易ではない中東情勢の正常化
2026.7.15
ホルムズ海峡の通航 制限解除には時間を要する

 米国とイランは2026年6月17日に両国間での戦争の終結に向けた14項目からなる了解覚書(MOU)に署名し、和平に向けた協議が行われています。

 14項目の内容の概要は以下のとおりです。①軍事作戦の即時かつ恒久的な終結、②互いの主権と領土保全の尊重(内政不干渉)、③最大60日以内の最終合意に向けた交渉の約束、④米国がイランの港湾に対して行っていた海上封鎖の解除、⑤イランによるホルムズ海峡の安全な航行に向けた最善の努力、⑥イランの復興と経済開発のための少なくとも3千億ドル規模の資金計画の策定、⑦米国のイランへの制裁の終了、⑧イランの核兵器の不保有、⑨核計画の現状維持、⑩米国による経済制裁等の解除、⑪米国が行っているイランの資産凍結の解除、⑫MOUの履行と将来の合意の順守を監視するしくみの設定、⑬MOUの署名・履行開始後の最終合意に向けた交渉の開始、⑭最終合意について拘束力のある国連安全保障理事会の決議による承認。

 私は、和平協議の開始から60日以内に戦争が終結し、ホルムズ海峡の通航が正常化するのは難しいと考えています。米国、イランの双方が、前記の項目のすべてに同意できるとは思えないからです。実際、協議開始後に前記項目に反した行為が両国で確認されています。

 米国にとっては自ら引き起こした戦争ですが、自国経済への直接的な影響が大きくない「対岸の火事」ともいえる状況なので、不利な条件を飲んでまで和平条約を締結する必然性は薄いと思われます。

 イランがホルムズ海峡の通航をコントロールすることで収益が得られることが分かったことは中東地域の火種として残り続けると思われます。今回の戦争で大きな被害を被ったイランが、この利権を簡単に手放すとは思えないからです。仮に、ホルムズ海峡の封鎖が解かれたとしても、敷設された機雷の除去に2カ月程度の期間を要するとみられており、その間は、船舶の通航が制約されます。

 また、今回の戦争の当事国の一つであるイスラエルが和平に同意していないことも大きな問題です。そもそもイランは、イラン革命以来、イスラエルを主権国として認めていませんので、今回の戦争の大本の原因となったイランの核開発問題が完全に解決されない限り、イスラエルの態度が軟化するとは思えません。
 イスラエルを含む3国の今後の対応次第では、和平協議が破綻して、元の木阿弥となり、イランが再びホルムズ海峡を封鎖する可能性が十分にあると考えられます。



再認識された中東の産油国産ガス国の地政学リスクの高さ


 世界の原油需要は日量1億バレル余り(以下、日量バレルをBDと表記)。今年2月以前はその20%程度に相当する2千万BDがペルシャ湾岸の8カ国(イラン、イラク、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、UAE)から供給されていました。さらに原油および石油製品の世界の輸出入取引に占めるペルシャ湾岸8カ国のシェアは2025年実績で約35%に及んでいました。

 石油調達の中東依存度が高かったアジア諸国では、ペルシャ湾岸諸国からの原油、石油・石化製品の調達減少分の一部を他地域からの輸入に振り替えたり、備蓄および在庫を取り崩したりして石油・石化製品の供給の確保に取り組んでいます。わが国では原油処理量が5月から前年同期の水準を上回り、4月に前年同期の70数%まで減少していた原油在庫も7月初旬にはほぼ2月の水準まで回復しています。一時大幅に減少したナフサの輸入も必要量を確保できるめどが立ったもようです。

 ただし、アメリカをはじめとする他産油国の増産・出荷、輸送余力からみて石油の中東依存度を短期間で大きく引き下げるのは難しく、原油及び石油・石化製品の安定供給がエネルギー政策においてまたまた大きな課題になったと考えられます。


原油価格が2月以前の水準を下回って推移し続けるとは思えない


 和平合意の観測報道を受けて原油価格は戦争開始前とほぼ同水準の70ドル前後まで下落しました。

 和平への期待に加え、ペルシャ湾に滞留していたタンカーの一部がホルムズ海峡を通過したことで原油需給が一時的に緩和したことが油価下落の一因になったと考えられます。

 しかし、中東の地政学リスクが高いことが再認識されたことで、石油および天然ガス輸入国では、中東諸国からの原油の調達が正常化した後に、備蓄及び在庫を元の水準に戻すだけでなく、リスクを考慮して積み増す動きが広がると予想されますので、その間、需要がかさ上げされて原油の需給は緩みにくくなると予想されます。これが地政学リスクの高まりと併せて原油価格を下支えすると予想されます。




北海道のガソリン価格予想
7月13日(月)から7月19日(日)まで
価格上昇
多少の上げ下げありか

07月15日付ヘッドライン

■人手不足、やはり懸案に 夏商戦の「成否」握る
■中小向け物品72% 北海道の官公需契約目標
■価格交渉実施90%強に 原材料などの価格上昇で中小企業 
■レンタカーと洗車が油外牽引 アイックス新光北25条SS
■新たな歩み進める 道エネチャレンジ美原 移転し店名も変更