エネルギー基本計画の改定では実情に沿った議論が必要
2024.6.20
エネルギー基本計画改定に向けた議論が始まる

 総合エネルギー調査会基本政策分科会で、エネルギー基本計画の策定に向けた検討が始まりました。
 今年5月に行われた第55回分科会では、わが国を取り巻くエネルギー情勢は大きく変化しており、世界では、①ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりを受けたエネルギー安全保障への対応の強化、②カーボンニュートラルに向けて引き続き野心的な目標を維持しながら、多様かつ現実的なアプローチを重視する動き、③エネルギー安定供給や脱炭素化に向けたエネルギー構造転換を自国の経済成長につなげるための政策の強化などが顕著になっており、加えて生成AIなどによるDXの進展に伴う電力需要増加の可能性が指摘されるなど、エネルギーを巡る不確実性が高まっているとの認識が示されました。

 現行のエネルギー需給見通しでは、需要サイドで、省エネ推進の徹底などによってエネルギー需要を抑制するとともに、低炭素エネルギーへの転換を進め、供給サイドで、再生可能エネルギーの導入推進、原子力発電所の再稼動、火力発電の高効率化・低炭素化、アンモニア・水素の導入及び利用の拡大などに取り組み、2030年の温室効果ガス(GHG)排出量を2013年度実績に対して46%削減するという目標が掲げられています。

 エネルギー需給見通しは、温室効果ガス(GHG)の削減目標との整合性が取られていますが、現状の取り組みのままでは需給両面でこの目標が達成できるとは思えません。


過度な脱炭素化の推進は経済活動や国民生活に大きな負担を課す

 経済活動の写し絵であるエネルギー需要を短期間で抑制したり、エネルギーシフトを進めたりすることはできません。エネルギー利用機器・システムの更新や廃棄、ビル・住宅・事業所等の高気密・高断熱化などが必要で、耐用年数やそのためのコスト負担を考慮しなければいけないからです。

 供給構成も、過度な規制を是正して原子力の利用率を高める以外の方法では、短期間で大きく変化させることはできません。

 現在のエネルギー政策では地球環境問題の深刻化、脱炭素化に向けた世界的な潮流及び世論の関心の高まりなどを背景に、最重要課題の一つとして低・脱炭素化が掲げられています。

  低・脱炭素化は環境適合策の一部ですが、具体的な取り組みの中には、エネルギー政策の大原則であるS+3Eの「安全性の確保」、「安定供給」、「経済効率性」を阻害したり、「環境適合」の要素の一つである自然環境に悪影響を及ぼしたりしているものがあります。

 低・脱炭素化を進めるため、様々な対策に補助金が投入されたり検討されたりしていますが、これもその水準や期間によっては合理性を阻害するリスクがあります。再エネ、水素・アンモニアなどがその典型例と思われますが、助成金の支給対象は、将来的に技術の進化・革新や習熟効果などによって、補助金を支給しなくても普及が見込める分野に限定すべきであると思われます。

 実情に沿わない目標を実現しようとすると、経済活動や国民生活に大きな負担が課せられることになります。

 S+3Eのすべてに通じる万能な対策はありませんので、組み合わせによるベターミックスを追求することが重要と思われます。


わが国の電動車化はHEVがリード

 ところで、輸送分野で低・脱炭素化を実現するために世界的に取り組まれている対策の一つが電動車化です。

 わが国では、経済産業省が、2030年代に国内で販売される新車をすべてハイブリッドカー(HEV)、プラグインハイブリッドカー(PHEV)、電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV)などの電動車(EV)にする目標を設定する方向で調整していることが明らかになっています。

 将来的には、構造がシンプルで、部品点数がガソリン車やディーゼル車に比べて圧倒的に少ないため、コストの相当部分を占める蓄電池の性能の向上と低コスト化が進めば、BEVのコストパフォーマンスが高くなると予想されますが、国産メーカーの多くが、ガソリン車、HEV、PHEVに強みを持っていますので、わが国では、BEVの普及ペースは諸外国に比べると緩やかで、足元では、HEVの普及が加速化しています。

 電動車化はガソリンや軽油の需要減少ペースを加速します。精製・元売には、内需の減少に対応した供給能力の削減、過剰供給の抑制、採算販売の徹底などに継続的に取り組むことが求められます。

 石油販売事業者は、石油製品の販売量の減少、点検・整備が難しいEVの普及によるカーケア収益の減少などへの対応が求められます。ほぼ確実に起きる事業環境の変化に備えて、速やかに対策に取り組む必要があると考えられます。


北海道のガソリン価格予想
6月24日(月)から6月30日(日)まで
変わらず
値下げの動き旺盛

06月25日付ヘッドライン

■夏商戦追い風弱く 今こそ収益確保前面に
■影響度合い徐々に改善 道が原油・原材料価格高騰で調査
■中小向け物品、72%維持 道の官公需契約目標
■車検「次の一手」模索 道エネチャレンジ新琴似
■道内工事現場にB5軽油 出光興産、鹿島建設、エア・ウォーターが連携