原油、LNG、LPGの需給・価格見通し
2025.8.25
原油市況の近年の主な変動要因

 2020年以降の原油市況の主な変動要因は、①新型コロナウイルスのパンデミックの影響による需要の急減、OPECプラスの協調減産、需要の回復、経済・社会構造の変化、②ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する西側諸国の経済制裁の影響、制裁に加わっていない国々のロシアからの輸入増による需給の均衡、③イスラエルとパレスチナおよびイランとの軍事紛争など地政学リスクの高まりと緩和、④世界的な景気低迷による影響、⑤米国の政権交代による影響などでした。

 米国トランプ政権の関税政策等がどのような影響を及ぼすかはまだ不透明ですが、原油の供給余力が十分にありますので、地政学リスクが高まるようなことがない限り、原油市況は当面横ばい、あるいは弱含んで推移すると予想しています。


LPGは需給緩和により原油に対して割安に

 LPGの価格は原油価格にリンクして動き、季節的に需要が増加する北半球の冬季に割高になり夏季に割安になる傾向が見られます。LPGの需給は、2000年代後半からシェールオイル・ガスの生産の拡大を背景に北米の生産・輸出量が増加したことによって需給が緩和したため、原油に対して相対的に割安になっていました。原油とLPGの単位熱量当たりの輸入CIF価格の平均単価を比較すると、2000年度にLPGは原油の146%でしたが、2010年度に116%、2022年度に84%、2023年度に83%と原油より割安になっています。2025年以降も、当面、この傾向が続くと予想されます。


LNG市況は比較的落ち着いた推移を見込む

 LNGは、2021年から2022年にかけて、ウクライナに軍事侵攻したロシアからの天然ガス輸入が減少した欧州諸国における代替需要の発生、アジアでの需要の増加、発電用燃料需要の増加、輸送能力の制約によるボトルネックなどによって、たびたび需給がひっ迫してスポット市況が高騰し、ターム契約も値上げ改定される傾向がみられましたが、2022年末以降は需給が緩和し、落ち着いた値動きが続いています。需給バランスからみる限り、2025~2026年もLNG市況が高騰する可能性は低いと思われます。


25~30年の原油需給見通し

 世界の原油需要は、2025年~2027年に年間100~200万BD(日量バレル)、2027年~2030年に年間数10万BDのペースで増加し、2025年~2030年に累計で500~600万BD程度増加する見通しです。

 一方、供給は、2025~2030年に、ガイアナ、アルゼンチン、ブラジルの3カ国で大規模な新規油田の開発が進められている南米が+200~300万BD程度、シェールオイルの増産が見込まれる北米が▲100~+300万BD程度(シェールオイルの生産量は原油価格の水準によって変動するため、原油市況が1バレル50ドルを下回って推移すると減産になる可能性があります) 、北海や中東を除くOPEC加盟各国の生産量が減少する見通しですが、サウジアラビア、イランなどに十分な増産余力がありますので、世界全体の需給バランスが大きく変化することはないと予想されます。

 なお、近年、OPECプラスの対応によって原油市況が顕著に上昇したのは、新型コロナウイルスのパンデミックによる需要減によって原油需給が崩れた際に史上最大規模の協調減産が行われた2020年5月以降の局面だけでした。

 OPECプラスの影響力は南米および米国の増産によって今後さらに低下すると予想されます。



北海道のガソリン価格予想
8月25日(月)から8月31日(日)まで
価格下降
値戻し後の下げもあり

08月25日付ヘッドライン

■セルフ価格看板乱高下 札幌市場 消費者に戸惑い
■厳寒期の災害対応など確認 札危協などが教養セミナー
■依然9割強に影響及ぶ 原油・原材料価格高騰で道が調査
■リニューアルから7カ月余り 思いのほか油販好調 中和石油EneJet札幌北5条
■タイヤなど上積み狙う 道エネチャレンジ石狩街道