最後の切り札「CCUS」
脱炭素実現へ手立て示す
2025.6.20

脱炭素社会実現への産業界の取り組みに耳を傾けた講演会
 【苫小牧】CCS大規模実証試験の実施やCCS事業法に基づく苫小牧沖の一部区域の特定区域指定など我が国初の試みが進む苫小牧市で10日、2010年の設立以来その誘致や実現に向けた取り組みを進めている苫小牧CCUS・ゼロカーボン推進協議会(会長・金澤俊苫小牧市長)が脱炭素社会実現に向けた産業界の取り組みをテーマにゼロカーボン講演会を開催。資源エルネギー庁の担当者は今後の事業推進にも地域や産業との共生が重要だと訴えた。

 苫小牧市と協議会とが主催する講演会では、はじめに資源エネルギー庁資源・燃料部カーボンマネジメント課の刀禰正樹課長が「我が国のCCUS政策と苫小牧GXの展望」をテーマに講演。中で「2050年カーボンニュートラル実現が我が国にとって重要なミッションであり、エネルギーの安定供給、地球温暖化対策、経済成長を同時に進めていくことを目指している」とし「日常の生活や産業活動で大量のCO2が発生するが、このCO2を有効な資源として活用するCCU、地下深く貯留するCCS、このCCUSを進めることが2050年カーボンニュートラル実現には不可欠だ」などとカーボンニュートラルに向けたCCUSの重要性を解説。その上でCCUやCCSの政策的位置付けを今年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画で説明した。

 刀禰氏はまた、苫小牧におけるGX・ゼロカーボンの取り組みとしてグリーン水素の供給、大規模再エネ水素やe―fuel、e―メタンの製造、アンモニアサプライチェーンの構築などに向けた検討が進んでいるとしてその概要を紹介。 「CCUSはカーボンニュートラル最後の切り札だ」とも述べ、地域と産業の共生、特に苫小牧では漁業者との共生の重要性を強調した。

 一方で「苫小牧における2030年CCS事業化に向けた事業者の取り組み状況」と題し講演した石油資源開発(JAPEX)国内カーボンニュートラル事業本部の池野友徳本部長は、北海道におけるカーボンニュートラル社会の実現に向けた自社、他社への出資・協力など様々な取り組みを進めてきているほか、イベントなどを通じて地域の理解促進にも努めているなどとし、さらに参加者からの質問に答える中で、苫小牧のCCSでは年間150万㌧から200万㌧の貯留を想定していることなども明らかにした。

 このほか、ソフトバンクの担当者が次世代社会インフラ構想として「AI共存社会の到来」を解説した。

講演するエネ庁の刀禰氏

講演するJAPEXの池野氏


北海道のガソリン価格予想
7月7日(月)から7月13日(日)まで
変わらず
仕切によっては下げも

07月15日付掲載予定

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