安定供給への願い強く
SS過疎地対策不可避
2025.11.30

消費者、供給者の代表らが灯油情勢をめぐり意見交換
 北海道経済産業局、北海道は18日、札幌第1合同庁舎道経産局会議室に消費者、供給者双方の代表らを集め令和7年度北海道地域灯油意見交換会を開催。今冬の灯油をめぐる情勢を共有するとともに、灯油価格や安定供給への対応、環境への影響に配慮した取り組みなど6項目を俎上に載せ意見を交わした。中で消費者からは、灯油難民を出さないためのSS過疎地対策など、安定供給を求める声が相次ぎ、供給者側もしっかりとそれを受け止めた。


 意見交換会には、消費者団体や行政機関などからオンライン参加も含め21人が参加。供給者側の業界からはENEOS北海道支店の浜田国揮支店長、出光興産北海道支店の山口裕支店長、北海道石油業協同組合連合会の河辺善一会長、北海道燃料団体連合会の沼田常好会長、エネコープの五十里浩輔社長が顔をそろえた。

 冒頭、主催者を代表し道経産局資源エネルギー環境部の横田純一部長が、開催趣旨にも触れてあいさつしたあと、資源エネルギー庁資源燃料部燃料流通政策室の甲元信宏室長が「燃料油価格支援及びガソリン、軽油の暫定税率に係る状況」について基調報告。また、石油連盟流通業務部の渡邉睦副部長が灯油需要、石油情報センターの佐々木忠則所長が灯油価格について概況を説明した。

 中で甲元室長は、2022年1月からの燃料油価格激変緩和事業や今年5月からの定額引き下げ措置など、燃料油に対する国の支援の変遷などに触れた上で、旧暫定税率の廃止に言及。与野党6党による合意までの経緯とともに、流通の混乱を避けるべく2週間ごとに補助金を5円ずつ引き上げ、ガソリンについては12月31日、軽油については来年4月1日に廃止すること、灯油や重油への補助は「少なくとも来年3月末まで継続」する方針であることなどを説明し、拡充方針である重点支援地方交付金についても、推奨メニューである灯油を含め「地域の実情に応じた支援策にしてほしい」と訴えた。

 渡邉副部長は、11月1日現在で灯油在庫が260万kl余、54日分と十分な水準にあることなどを説明し、今冬の供給について、寒波などで需要が急増しても元売各社には生産余力があり、輸入も可能なことから「安定供給に支障をきたす恐れはない」ことを強調。

 佐々木所長は、今後の原油価格の見通しについて「先行き不透明」としながらも、中国経済の停滞やOPECプラスの増産政策で需給緩和観測が強く「値下がりと見る向きが多い」とした。

 このあと消費者団体から事前に出されていた質問をもとに、①灯油価格②原油価格の見通し③燃料油価格激変緩和措置の継続④福祉灯油⑤安定供給への対応⑥環境への影響に配慮した取り組み─の6項目を俎上に載せ意見交換。

 安定供給への対応については浜田支店長が、計画的な在庫の積み上げや輸送網の確保で「災害時でも柔軟に対応できる体制を取っている」と、山口支店長も「安全、安定供給に努めている」と訴え、灯油難民を生み出すSS過疎地対策にも真摯に向き合い、燃料供給拠点の維持をサポートしているなどともした。

 さらに河辺会長は、最大限の努力をしているとしながらも、タンクローリーが品薄で手に入らないことなど「問題も抱えている」とし、五十里社長はIotによる配送の効率化や人材確保への魅力づくりを進めるが、共同配送などの検討も不可避であることを指摘。沼田会長は、業界の大同団結による体制構築の必要性にも言及した。

 また、これに関連し道経産局資源・燃料課の五十嵐岳紀課長は、陸上自衛隊北部方面隊とともに実施している災害時燃料供給合同支援訓練を来年2月に実施する予定であることや、SS過疎地を考える機運を醸成すべく国立大学法人北海道国立大学機構が12月15日に旭川でセミナーを開催することなどを紹介した。

安定供給への取り組みを紹介する左から浜田支店長、山口支店長ら

河辺会長(右)と沼田会長は業界が抱える課題にも言及した


北海道のガソリン価格予想
11月24日(月)から11月30日(日)まで
価格上昇
下げ過ぎ是正の動きも

11月30日付ヘッドライン

■行政等の後押し重要 SS過疎対策で方針案 道経産局
■暫定税率廃止も俎上に 滝川消費者協会と空知石協が懇談会
■受注目標3534kl余 岩見沢エネルギー協組が通常総会
■青柳氏晴れの受賞 帯広市産業経済功労者表彰表彰式
■特集「業界展望」