
元売の26年度第1四半期は空前の好決算に
元売大手3社の26年度第1四半期(26年4月~6月)決算はENEOSホールディングスの営業利益が前年同期比4323億円増の4826億円、在庫影響除き営業利益は同1523億円増の2874億円、出光興産の営業利益が同3115億円増の3075億円、在庫影響及び金融費用除き税引前利益は同940億円増の1561億円、コスモエネルギーホールディングスの経常利益は同1288億円増の1330億円、在庫影響除き経常利益は同1010億円増の1221億円となり、いずれも在庫影響除き利益が史上最高となる好決算でした。
このように好決算になった要因の一つは、米国およびイスラエルによるイランへの空爆をきっかけにした中東情勢の悪化によって原油及び石油製品の価格が高騰したからです。
原油価格の上昇によって在庫評価で利益がかさ上げされた上に、石油製品の価格が国内外で原油価格と呼応して上昇し、原油価格の上昇がまだ原価には十分に反映されていないためタイムラグによって石油製品のマージンが拡大したことによって石油製品事業の利益が増加したからです。
石油元売は石油製品の輸出や石油化学、石油・天然ガス開発、金属等の非石油事業なども営んでいますが、原油価格の上昇は石油・天然ガス開発事業の収益拡大要因にもなっています。
料油価格を抑制するための補助金の支給が続く
ところで、今年3月19日からの米軍とイスラエル国防軍によるイラン空爆をきっかけに悪化した中東情勢を踏まえた新たな緊急的激変緩和措置が実施され、補助金の支給によって燃料油価格が抑制されています。
現在の支給単価はレギュラーガソリンの全国平均価格を㍑170円以下に抑制することを目的に算定されており、従来の燃料油価格抑制策と同様に、石油元売等に補助金が支給され、ガソリン、軽油、灯油、重油、ジェット燃料油の卸売価格が抑制される仕組みになっています。
毎週木曜日に改定される支給単価は、レギュラーガソリンの今週の全国平均価格(資源エネルギー庁が公表している「石油製品価格調査の給油所小売価格調査」の調査価格)に、前週の支給単価、原油価格の円建て換算値の変動、調整単価を加減算した値から㍑170円を差し引いて算定されています。
また、中東情勢の悪化によってペルシャ湾岸産油国からの原油および石油製品の輸入が減少し、他地域からの代替調達が拡大している影響による原油の調達コストと国際市場価格との差、備蓄原油の放出による国家備蓄の譲渡価格と当該月の国際市場価格との差を考慮した「調整単価」が7月2日支給分から補助金に反映されています。7月の調整単価は3月1日から6月20日までの影響を反映した㍑+4・9円で、8月以降は月次で調整単価の変動が算定され翌月の支給単価に反映される仕組みとなり、8月の調整単価は㍑+6・0円でした。
なお、補助金は、元売ごとに会計士等の第3者による監査等によって、毎月20日までの影響を反映した実績値によって適正性が精査され、事後的に確定されますので、補助金の支給で元売の収支は直接的には影響を受けないようになっています。
燃料油補助金は元売仕切価格にほぼ正確に反映されている
元売の仕切価格は、各元売が設定した算定方式によって、市場価格の変動などを反映して毎週改定されています。
中東情勢の悪化によって原油価格及び石油製品市況が高騰した3月5日週から8月13日週にかけての元売大手3社の仕切価格の前週比変動幅(燃料油脂新聞調べ)と補助金支給額の前週比改定幅を比較すると、その差は週平均㍑+0・3円と小さいので、3月19日以降の補助金の支給額は各社の仕切価格に適正に反映されていると考えられます。ガソリンと軽油に関しては、特例税率(旧暫定税率)の廃止(ガソリン25年12月31日、軽油26年4月1日)とその影響を考慮した定額補助金の支給額の変動も仕切価格に正確に反映されていました。
燃料油価格抑制策による補助金の支給、特例税率の廃止は、石油元売の業績には影響を及ぼしていないと考えられます。元売各社の代替調達による影響も考慮されるようになっていますので、原油価格の変動幅が小さくなった段階でタイムラグの影響が小さくなり、元売各社の利益は、在庫評価影響を除いた25年度並みの水準まで減少すると予想されます。