適正な販売環境の実現に向けた元売の対応に期待
2015.12.7
公取委の見解に対する元売の対応が始まる

 公正取引委員会が、七月に公表した報告書「ガソリンの取引に関する調査について」の中で公正な競争の確保に向けた以下の三つの問題点が示されました。

 系列内の仕切価格差…元売は、仕切価格を一定のフォーミュラで取り決めている場合、特約店に対して、各構成要素の額を請求書等に明記する必要があり、価格体系やその構成要素の額を見直す場合には、交渉の機会を設けて特約店の意見に配慮する必要がある。また、1SS当たりの物流費に大きな差がないにもかかわらず特約店規模格差のインセンティブが設定されていることは不合理である。


 販売関連コスト等の非開示…元売は、販売関連コストの額の決まり方について疑義が生じないよう、また理解を十分に得られるようにするため、特約店に対して説明および意見交換を定期的に行う必要がある。

 業転玉の取扱制限…元売が、系列特約店における業転玉の取扱いを一律に制限・禁止することは、元売によって業転玉がPB―SS等に安定的に供給されており、かつ系列玉と業転玉の価格差が常態化している状況は、公正な競争環境の整備に悪い影響を及ぼしかねない。元売は、系列特約店における業転玉の取扱いを一律に制限・禁止するのではなく、系列特約店等の意見を踏まえ、系列特約店との間で一定のルールを策定する必要がある。

 公取委は、これらを踏まえて、元売は、系列内の仕切価格差の是正、販売関連コスト等の説明および定期的な意見交換、業転玉の取扱いに関する一定のルールの策定を行う必要があり、取引上優越した立場にある元売が、一般特約店に対して、一方的に競争上不利な取引条件を課しているおそれがあり、正常な商慣習に照らして不当に特約店に不利益を与える疑いがある具体的事実に接した場合は厳正に対処するといった見解を示しました。公取委の見解に対する元売の対応が始まりつつあるようです。

 JX日鉱日石エネルギーは、9月第一週に、他元売が、ガソリン、灯油、軽油、A重油の仕切価格を2円50銭から2円80銭引き上げる中で、仕切価格を据え置きました。仕切価格のフォーミュラは元売毎に異なっていますので単純に比較できませんが、この前週にスポット市況が大幅に上昇していましたので、JXが、この週に価格指標あるいはフォーミュラについて何らかの見直しを行ったものと推定されます。

 JXではインセンティブの見直しも行われ、これらの対応によって、系列・業転間および系列間の仕切価格差が是正されたもようです。一般に公表されているわけではありませんので実情は分かりませんが、もし、このような対応がなされているのであれば、公取委の見解に対する適切な対処策として高く評価できるでしょうし、おそらく、他元売列でも、今後、同様の対応が進められることになると予想されます。


元売の次なる課題は小売マージンの是正

 元売の直販シェアは年々拡大し、いまや多くの地域において、元売が小売市況の形成において主導的な役割を果たすようになっています。これは、元売の小売戦略次第で販売業界全体の収益環境が大きく左右されるようになっていること、そして、元売の収益も自らの販売戦略によって大きな影響を受けるようになっていることを意味します。

 SSの数がどれだけ減少しても販売事業者間での競争は続きます。収益環境を悪化させてまで、販売事業者やSSの減少を促す必要があるとは思えませんし、需要が拡大しなければ、その間に生じたロスを取り返すことはできません。元売は、仕切価格政策だけでなく、小売部門を含めた販売戦略全体を見直す必要があるように思われます。



北海道のガソリン価格予想
3月30日(月)から4月5日(日)まで
変わらず
緊急的激変緩和補助金で価格維持か

03月30日付ヘッドライン

■灯油商戦「まあまあ」で推移 最終盤で異常事態に直面
■系列外にも製品供給を エネ庁が元売などに要請
■自主廃業、倒産が増加 中央会が昨年の実態を調査
■石油業界の収益環境は2~3年内に悪化の可能性 戦略特集
■好調洗車に加えタイヤにも注力 キタセキ札幌新川SS