
市況是正を図るために必要な公平な競争環境づくり
ガソリン市況の低迷が続いています。ガソリンの在庫は、7月以降前年同期の水準を下回って推移しており、10月半ば以降は同時期として過去最低の水準まで圧縮されていますが、業転市況、小売市況ともになかなか是正されません。原油価格の高騰と円安を背景に製品価格が高止まりしていること、軽自動車やエコカーの普及によって燃費の改善し自動車用燃料の内需が伸び悩んでいることなどがその理由と思われます。
市況を是正するための要件の一つは、公正取引委員会が指摘したように公平な競争環境を作っていくことでしょう。そのためには、公取委が指摘した同系列内および系列・業転間の差だけでなく、業界全体の卸売価格の差を縮めていく必要があり、透明性・納得性の高い仕切価格体系を作っていくこと、業転市況の是正を図っていくことなどが求められます。
仕切価格体系の公表
透明性の高い仕切価格体系は、標準指標の算定基準や機能・ブランドの提供料などを公表することで得られるようになると考えられます。そもそも石油製品は、品質規格が定められた規格品ですので、卸売段階で大きな価格差を設けるのは難しいと考えるべきです。元売関係者の中には、仕切価格を公表すると競争に影響すると指摘する向きもありますが、仕切価格の情報は比較的容易に入手できますので、この指摘は妥当とは思えません。透明性・納得性の高い仕切価格体系が公表されれば、元売各社は、他社の体系を参考に仕切価格体系の修正を進めるようになると期待されます。業界全体の収益環境が自らの収益を左右することは自明の理と思われますが、メーカーでありブランドの提供者でもある元売は、良質な製品の安定供給、製造・供給コストの低減、小売サービス提供段階における付加価値の創造力などで競うべきと思われます。
また、卸売価格に差があると販売業者は公平な条件で競争ができなくなり、より良い業界環境を作ることが難しくなってしまいます。石油業界の経営環境が正されにくかった原因の一つはここにあったと考えられます。
ところが、公正取引委員会からガソリン流通の問題が指摘された7月以降、元売各社の仕切価格の改定幅に差が見られるようになりました。元売各社が、仕切価格の体系や水準を修正して、収益性の向上に取り組んでいるためとも考えられますが、価格体系の透明性・納得性が高まっているようには思えません。このままでは市況が改善するとは思えません。市況は安きに流されやすいからです。
廉売業者を優遇してはいけない
廉売業者に対して割安な価格で製品が供給されにくい状況を作っていく必要もあります。
ブランドの提供者である元売は、ブランドの価値を高める努力をしていかなければいけませんが、廉売業者を仕切価格面で優先することはこれに逆行する行為です。また、元売の販社が、安売りを先導したり、周辺店の安売りに追随したりすることも慎むべきでしょう。これらの対応は、真摯に経営の改善に取り組んでいる系列販売業者の経営を悪化させるだけでなく、直販シェアが高まっている元売自らの収益にも大きな悪影響を及ぼすことになるからです。
市況を是正するためには早め早めの対応が必要
需要が減少傾向で推移する中で業転市況が崩れにくい状態を作るためには、これまでより以上にきめ細かく需給調整に取り組む必要があります。需給が緩むと業転市況はほぼ確実に崩れ、卸売・小売両段階のマージンを圧縮してしまうからです。その影響は、精製・供給段階のコスト増減効果を上回ると考えられます。
石油業界において規制・制度改革が進められるようになった80年代後半以降の状況の変化をみると、ガソリンなど石油製品の精製・販売マージンは、精製設備の停止、脱硫規制の強化、輸出の拡大、石化製品への生産シフト、事故・トラブルの続発に伴う供給能力の低下など、石油製品の国内供給能力が削減される局面で改善していました。今年も、コスモ石油の坂出製油所の停止後に市況はやや持ち直していますので、精製・販売マージンは、JX日鉱日石エネルギーの室蘭、出光興産の徳山の両製油所の精製設備が停止する年明け以降に改善すると予想されます。ただし、今後のマージン改善幅は過去の供給能力削減局面に比べると小さく、好環境が長続きするとも思えません。ガソリンなどの国内需要が減少傾向で推移しているからです。
元売各社は、さらなる製油所の集約、拡大が続く海外の石油製品市場や芳香族系石油化学製品へのシフトなどの対策を早め早めにとっていく必要があると思われます。