エネルギー政策の見直しによって変わる事業構造
2015.12.7
エネルギー基本計画とは

 あらゆる経済活動や国民の暮らしに必要不可欠なエネルギーの安定供給を確保することは、国の安全保障上、常に大きな課題であり続けていますが、わが国は、現在、エネルギー源の中心となっている化石燃料の自国資源が乏しく、その大半を海外からの輸入に頼るという根本的な脆弱性を抱えています。このため、エネルギーを巡る国内外の状況の変化によって大きな影響を受けやすいという構造的課題を抱えています。


 さらに、エネルギー資源情勢を巡る需給両面における大きな変化、資源国における地政学リスクの拡大及び顕在化、さらには過剰流動性などを背景にしたエネルギー資源価格の高騰及び乱高下、国内における人口の減少や人口構成の変化、技術革新等による中長期的なエネルギー需要構造の変化、世界の温室効果ガス排出量の拡大といった様々な課題に直面する中で、わが国のエネルギー安全保障を巡る環境は、厳しさを増しています。

 このような状況に対応し、長期的、総合的かつ計画的な視点に立ってエネルギー政策を遂行していくため2002年6月に「エネルギー政策基本法」が制定され、同法に基づいて、2003年10月に我が国のすべてのエネルギーに関わる諸政策とその方向性を網羅的に示した最初の「エネルギー基本計画」が策定されました。

 その後、エネルギーに関わる諸情勢の変化などを考慮して内容が見直され、2007年3月に第二次計画、2010年6月に第三次計画が策定されました。

 第三次計画では、エネルギーの供給安定性を高めるため、エネルギー自給率と化石燃料の自主開発比率を倍増する目標が掲げられ、自主エネルギー比率を2030年に約70%まで高めるとされていました。また、エネルギー起源の二酸化炭素の排出量を削減するため、電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネルギー由来)比率を、原子力の導入拡大及び設備利用率の向上、再生可能エネルギーの導入拡大により、2020年に50%以上(うち原子力37%)、2030年には70%以上(原子力53%)とする目標が設定されていました。


エネルギー事業者は政策の見直しに対応するため自ら変革に取り組む必要がある

 ところが、東日本大震災、および、同震災時の津波で被災した東京電力福島第一原子力発電所で深刻な原子力事故が起きたことをきっかけに原子力政策が混迷し、原子力利用率が低下(2013年9月以降はゼロ)、この影響で電力の供給力不足が拡大したことなどから、電力会社の信頼が著しく低下するなど、国内事情が大きく変化し、わが国のエネルギー政策は大幅に見直されることになりました。

 東日本大震災が発生した当時政権を担っていた民主党は、原子力政策を大震災前後で「導入及び利用の拡大」から「脱原子力」へと真逆に転換するとともに、再生可能エネルギーの導入推進、小売全面自由化や送配電部門の分離などを含む電力システム改革など、エネルギー政策の抜本的な見直し作業が進められました。

 自民党に政権交代した後も、エネルギー政策の見直し作業は進められ、先ごろ、第四次となる新「エネルギー基本計画」が閣議決定されました。また、電力に続いて、都市ガス事業に関しても全面自由化を含めたシステム改革の審議が進められています。エネルギー政策が見直されることでエネルギー産業の構造は確実に変化していきます。ほとんどのエネルギー関連事業者が取り組もうとしている「総合化」は簡単ではありません。強みを活かして「複合化」を図るのが妥当な対策と思われます。

 エネルギー関連事業者は、来る激変の時代にどのように対応するかを考え、速やかに自ら変革に取り組んでいく必要があると思われます。


北海道のガソリン価格予想
7月28日(月)から8月3日(日)まで
価格上昇
上昇のあと、徐々に下げ方向で

08月05日付掲載予定

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