なかせき商事代表取締役社長 岡田清一氏
柔和にして泰然。その人柄は、破天荒な経歴からおよそ想像ができない。このほど、なかせき商事の代表取締役社長に就任した岡田清一氏だ。
都内の大学を卒業後「接客業を極めたい」と外食産業に就職するも、本部勤務を命ぜられ、わずか半年で退職。失意のアルバイト生活中に将来を模索した末、故郷の稚内で損保代理店を開くことを決意した。この時、運命の大転換が待ち受けていることを、20代半ばの青年は知る由もない。
転機はすぐに訪れた。開業2年足らずで、本社(当時、中川石油店)損保部門の担当者から誘いを受け入社。数年後には、稚内南SSの所長に抜擢され、現場経験ゼロの身でいきなり10人の部下を持った。「両手が腱鞘炎になるほど窓拭きをした」と述懐する。
所長就任から3年余りで本社営業部次長に就任すると、今度は部下全員が年長者という立場に。初めて「リーダーシップとは何か」を自問し続けたという。
運命に導かれるように昇進は加速する。本社執行役員(平成18年)を皮切りに旭川本社執行役員(平成21年)、保険事業部執行役員(平成22年)、保険のなかせき設立を機に同社取締役専務(平成23年)、同社代表取締役(平成25年)と、指導者としてのキャリアを積み重ね運命の2月を迎える。「絶対に起こりえないと思っていた」本社代表取締役社長就任が、ついに現実となった。
時は奇しくも石油業界の大転換期。燃料油の需要減退、若者の車離れや運転可能世代の減少、新エネルギーの台頭など難題はあるものの「なかせきグループ全体として開拓できる分野はまだ十分にある」と冷静に分析。盤石の経営基盤を築き上げた刀根英二代表取締役会長(前社長)の薫陶を受け、着々と戦略を練る。
座右の銘は「一期一会」とか。生涯に一度限りでも必然の出会いであると説く岡田社長は「次世代の後継者」との出会いを期す。
趣味は料理、キャンピング、旅行、ギター弾き語りなど多彩だ。