通勤途中にだが、「月日は百代の過客にして行き交う人もまた旅人なり」というフレーズが頭をよぎった。松尾芭蕉の奥の細道の冒頭で、現代語だと「月日は永遠に止まらない旅人のようなもので、往来する日々も旅人」となるが、月日を過ごす人間も旅をしていると言えよう。

　談笑しながら闊歩する若者達、手をつないで笑顔で歩く子どもと保護者、周りを幸せにすることができる笑顔の「威力」を感じる瞬間であると同時に、スーツを纏った渋面のサラリーマンの姿を見ると同情と協調の念を禁じ得ない。

　ある研修で聞いた「笑顔で悪口を言うと笑顔が印象に残り、渋面で褒めても渋面が印象に残る」という話。第一印象は表情で決まることを説いたものだ。

　別の話だが、作り笑顔でも気持ちを高揚させる効果があるという研究結果があるとか。さらに笑顔には、シワやたるみを予防してアンチエイジング効果をもたらし、がん細胞も退治するｎｋ（＝ナチュラルキラー）細胞を体内につくるのみならず、脳卒中の予防や二日酔いにも利くそうで、人生の万能薬と言えそう。余談だが、「気合いだぁ」と連呼する元プロレスラーの「ワッハッハ」にも同様の効果があるのだろうか。

　作り笑顔は意識して口角を上げ、「イー」と発音すると顔の筋肉がほぐれ、つくりやすくなるそうだ。

　前出の研修の話、結論は「笑顔は儲かる」だった。少しの利益を生むのも苦労するご時世。タダでできるこの方法、試してみるのも一興。　（蔵）