被害者意識強まる現代
「温もり」でかわしたい
2016.11.25
 SSでのクレーマー事例は一時に比べ鎮静化しているようにも見受けられるが、灯油配送先の常連顧客との間では「プチクレーム」が後を絶たないようだ。札幌市内のあるSS所長によると「給油ホースが庭をまたいだため、植木が倒れた」「ローリーがブロック塀をこすった」「車庫が傷ついた」など、ひと冬に数件の苦情が届くという。

 本来、クレーマーのねらいは被害者を装い金銭を要求することだが、灯油顧客の場合は日常生活への侵害に対して注意義務を全うしてほしいだけだから本質的には同一視できない。しかし、対応を誤ると取引解除や過大な賠償請求に発展するのみならず、事実無根の噂を流されかねない。

 道央圏で心療内科を開業している専門医は、現代の行き過ぎた個人主義に対し「日本人の美徳である寛容性が崩壊しつつあるのではないか」と危惧する。他人が犯したミスにより損害を被ったという過剰意識で、より攻撃的になっているというのだ。

 高齢者人口の急速な増大が年金制度の根幹を揺るがし、年金受給額の減額という悪夢が現実味を帯びてくる中、社会のヒステリック度は高まるばかりだ。

 道東のあるSS経営者は「クレーマー問題や顧客との摩擦はこのマチには存在しない。都会では人間関係が希薄だから大変だね」と他人事のように言う。

 都市型SSの顧客層も高齢化し、より慎重な対応に迫られそうだが、同時に「温もりのある接客法とは何か」を改めて問い直す時かもしれない。(德)


北海道のガソリン価格予想
7月7日(月)から7月13日(日)まで
変わらず
仕切によっては下げも

06月30日付ヘッドライン

■灯油代金の支払い平準化 エネコープが灯油積立サービス実施へ
■85.9%に何らかの影響 人手不足で道経済部が調査
■仕切り乱高下 道内各市場対応に苦慮
■負担軽減へ支援第4弾 LPガス利用者に北海道
■カーリースにも総力結集 車検客らに猛アピール ナラサキ石油東北通SS