OPECの協調減産が原油相場に与える影響は限定される見通し
2016.12.20
OPEC加盟国が協調減産に合意
 11月30日に開催されたOPEC総会で、9月末の臨時総会で暫定的に合意された内容に即した日量120万バレルの協調減産が合意されました。ロシアもOPECからの同時減産の呼びかけに応じて日量60万バレル程度の減産に踏み切ると予想されます。OPECとロシアが協調減産を実施するのは2001年以来実に15年ぶりのことで、日量180万バレルは現在の世界全体の原油供給量の1・9%に相当します。

 原油相場は、臨時総会後の10月に一時上昇しましたが、その後、世界的な景気の低迷を背景にした需要の伸び悩みによって原油の需給調整が進まなかったこと、OPEC総会で合意が得られないのではないかとの思惑が広がったことなどから、再び値を崩していました。

 NYMEXの原油先物の期近価格の引け値は、今年6月に51㌦台まで上昇した後、8月に40㌦弱に下落、10月に51㌦台まで上昇、11月には43㌦台まで値を崩していましたが、OPEC総会での減産合意を受けて急反発しました。

 11月30日の引け値は49・44㌦と前日に比べて4・21㌦上昇し、12月2日に51・68㌦、5日には51・79㌦と2日続けて年初来の高値を更新しました。

 しかし、当面は、原油相場がこのまま上昇を続けて50㌦台後半まで上昇する可能性は低いと思われます。これは、需給が引き締まっておらず、主な産油国、消費国ともに高水準の在庫が積みあがった状態のままだからです。


過去にOPECが協調減産を実施した局面で原油相場が上昇した例は少ない
 意外に思われるかもしれませんが、OPEC加盟国が過去に協調減産を実施した局面で、合意した数カ月後に原油価格が上昇したケースはほとんどありませんでした。これは、OPECが協調減産を検討したり実施したりした局面では、OPECが減産しなければならないくらい需給が緩んでいたからです。

 このため、OPECが減産を実施したにもかかわらず需給が短期間で引き締まったケースは見られませんでした。

 また、OPEC加盟国が合意内容通りに減産を実施しなかったこともありました。原油価格の低迷局面で収入の減少を補うためには生産量を増やすことが短絡的な対策になるからです。今回も、過去と同様の状況が再現される可能性は十分にあると考えられます。


需要の伸びが回復しなければ原油相場の戻りは限られる
 今後は、中国をはじめとする新興国および発展途上国で石油需要がどの程度増加するか、先進諸国の原油需要が回復するか、OPEC加盟各国が合意内容通りに減産を実施するか、さらに、ロシアなど他の産油国が減産を実施するかなどによって原油の需給は左右されることになります。もちろん、減産によって需給調整が進めば、原油価格は上昇しやすくなりますが、原油価格が上昇すると生産量が拡大し、需給が緩んでしまう可能性もあります。

 例えば、原油価格が50㌦を上回ってくると北米のシェールオイルなどの生産量が回復に向かうと予想されます。米国の原油生産量は、15年6月初旬のピーク時点では日量961万バレルに達していましたが、16年12月末初の生産量はピーク時点に比べて約90万バレル少ない日量870万バレルまで減少しています。米国の原油生産量が過去のピーク時並みまで戻ると今回のOPECとロシアの減産分の約半分を打ち消してしまう可能性があるのです。

 さらに、70㌦程度まで上昇すると、カナダのオイルサンド、ブラジル沖の深海油田など採算の悪化によって生産量が減少している他地域の高コストプロジェクトの生産量も回復に向かうと予想されます。

 また、油価の急落局面において世界各地で大幅に削減された開発投資が再び拡大に向かうと予想されます。

 世界の原油需要は1年間に日量100万バレル~200万バレルのペースで増加する見通しですので、OPECやロシアなど主要産油国が減産体制を維持したとしても、過剰在庫の調整が済むまでには、まだ半年から1年程度の期間を要すると見込まれます。原油相場が本格的に上昇するのはその先になると見込まれます。


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

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