資源市況に影響を及ぼしつつあるダイベストメント
2017.3.25
ダイベストメントとは
 ダイベストメントという言葉をご存じでしょうか?日本ではまだそれほど知名度は高くありませんが、欧米ではよく知られた言葉です。

 ダイベストメントとは、インベストメントの反意語で、是正を図りたい特定の行為にかかわる保有資産を売却したり、投資対象から外したり、事業から撤退したり、これらを促したりする行動のことです。このダイベストメントが各方面で影響を拡大しています。

 過去にダイベストメントが大きな影響を及ぼしたとされる事例としては、南アフリカ共和国の人種差別政策(アパルトヘイト)の是正、対人地雷禁止に関するオタワ条約(1999年発効)やクラスター弾に関するオスロ条約(2010年発効)を支援する目的で、企業や個人がこれらに関連する国や企業に投資しなくなったり、関連する事業から撤退したりする動きが広がったケースなどが知られています。

 このダイベストメントの対象が、近年、エネルギー・環境分野に広がっています。地球温暖化など地球環境問題への懸念が深まったことがその背景にあります。

 エネルギー・環境関連のダイベストメントは、2011年に米国のスワースモア大学が採択したのが最初とされており、その後、欧米各国を中心に急速に拡大し、2017年3月現在で参加している組織・団体は、大学、自治体、政府や地方自治体の年金基金、保険会社、銀行、財団法人、教会など1千近くに及んでいます。


金融・資本市場でエネルギー・環境関連のダイベストメントが拡大
 経済への影響が大きい金融・資本市場でも、ESG(環境・社会・ガバナンス)活動への取り組みの一環としてエネルギー・環境関連のダイベストメントを実施する組織が増えています。

 例えば、ノルウェー政府の年金基金運用会社「ノルジェス・バンク・インベストメント・マネジメント」が2012年に石炭に関するダイベストメントを導入しましたが、その対象は年々拡大され、2016年の規定は、事業活動の30%以上を石炭関連事業が占める、もしくは売上の30%以上を石炭関連事業から得ている企業を投資先から除外するという内容で、対象企業数は世界の著名企業だけで239社に及んでいます。その中には日本の電力会社も含まれております。

 ノルウェー以外に、スウェーデン、デンマーク、オランダ、カナダ、オーストラリア、米国カリフォルニア州などの年金基金も独自に定めた規定に基づいた環境関連のダイベストメントを導入しています。

 また、年金基金以外の機関投資家でも、独自の基準で環境への取り組みが優れていると判断される企業に投資対象を限定したいわゆる「環境ファンド」の設定・運用が拡大しています。

 この結果、2016年3月現在で、エネルギー・環境関連のダイベストメントを投資対象の選別に採用している機関投資家及び投資ファンドの総額は世界全体で数百兆円に及ぶと推定されています。


ダイベストメントはエネルギー資源市況にも影響
 石炭は新興国や発展途上国を中心に世界的に需要が拡大していたにもかかわらず、2010年から2016年半ばにかけて他のエネルギー資源の価格に対して相対的に割安になりました。この背景には石炭関連のダイベストメントの影響があったと考えられます。

 なお、石炭の価格は、昨年秋に世界最大の生産及び消費国(いずれもシェアは50%超)である中国が生産を抑制した影響などにより急騰しましたが、依然、他のエネルギー資源の価格に比べて割安です。

 石炭以外のエネルギー資源の価格は、現時点では大きな影響を受けていませんが、温暖化など地球環境変動への懸念が後退するとは思えませんので、今後、原油、天然ガスなどもダイベストメントの影響を受けるようになると予想されます。近い将来、原油や天然ガスの市況を予想する際に、需給、景気指標、為替、株価などに加えてダイベストメントが重要な要素のひとつになると考えられるのです。


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

04月30日付ヘッドライン

■「採算販売」最優先に 北石連・商理事会が総会提出議案承認
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■LINEでショップカード 道エネチャレンジ西野3条SS
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