電力・ガス小売全面自由化の影響
2016.11.20
地域間でばらつきがみられる電力小売全面自由化の影響
 電力小売が全面自由化されてから7カ月余りが経過しました。16年9月末時点での新電力へのスイッチング件数は全国で188万4千件、需要家総数の約3%を占めています。スイッチングは月約20万件のペースで着実に進んでいますので、来年3月末には新電力の契約件数が約300万件、総数の5%程度を占めるようになると予想されます。

 スイッチング比率には地域によってばらつきがみられます。全国平均を上回っているのは、東京電力圏内の5・0%(16年9月末現在、以下同様)、関西の3・7%、北海道の3・4%だけで、北陸、中国、四国、沖縄の比率は1%を下回っています。新電力は、供給力が限られていることもあって、効率的に事業を展開できる大都市圏や料金水準が高い地域を中心に事業を展開しています。これが地域差が生じている理由だと考えられます。

 新電力では、東京ガスが50万件、大阪ガスが20万件、北海道ガスが7万件をそれぞれ超えるなど、都市ガス会社が自らの供給圏内でお客様の数を積み上げているのが目立ちます。また、最も割安な電気料金を掲げ、かつ石油製品とのセット割引も行っているJXも多くのお客様を獲得しています。

 東京ガス、大阪ガス、JXは自前の大規模発電設備を運営しており、小売が全面自由化される前から電気事業を展開していました。私は、電力小売事業で成果をあげられるのは、①小売全面自由化以前においてすでに電気事業の実績がある事業者、②需要と供給を常に一致させる需給調整力を備えたコスト競争力のある電源を保有している事業者、③ほぼ毎月お取引がある顧客を相当数抱えた事業者などに限られると予想していましたが、これまでの結果は概ね予想どおりです。ただ、北海道は事情が異なっており、北海道ガスは自前の発電所を持っていませんが、電化営業に積極的に取り組んでいること、泊原子力発電所が停止している影響などから北海道電力の料金が割高になっていることなどが、スイッチング比率が高くなっている理由と考えられます。

 なお、自由化前から大々的に宣伝を行っていた携帯電話会社は、意外にお客様を獲得できていません。その一因は、携帯電話のお客様は個人、電気は家庭あるいは事業所と単位が必ずしも一致していないからだと思われます。


都市ガス小売全面自由化がLPガス業界の競争を促す
 来年4月には都市ガスの小売が全面自由化されます。

 関西電力、東京電力、中部電力、九州電力などの電力会社が新たに自由化される家庭用・小口ガス事業への進出を表明していますが、電気に比べると新規事業者の数は限定されることになると予想されます。それぞれの地域で供給されているガスと同じ性質(熱量、付臭)のガスを需要に合わせて供給できる体制を整えている事業者が限られているからです。

 むしろ、95年に実施された規制・制度改革ですでに自由化されていたLPガス業界で大きな変化が起きる可能性があると考えられます。LPガスの需要家の多くがガス会社を自由に選べると理解していないからです。都市ガス小売の全面自由化をきっかけに需要家の意識が変わってLPガス業界の競争が促される可能性があるのです。

 LPガスは、都市ガスと違って地域によりガスの質に差があるわけではありませんし、供給インフラによって制約されることもありませんので、効率的に事業を展開できる大都市圏を中心に競争が広がっていくと考えられます。

 LPガス事業者の立場でガス自由化対策を考えると、お客様との関係を強化することにつきます。電力の先例から、お客様の多くは価格で事業者を選択していないことがわかってきました。お客様の立場に立って、信頼を築き、サービスの質を高めることができるかどうかが今後の成否を分けるポイントになると考えられます。 


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

04月30日付ヘッドライン

■「採算販売」最優先に 北石連・商理事会が総会提出議案承認
■「まずは技術力磨け」 HNCが勝ち組SS応援セミナー
■基本方針への準拠求める 官公需で経産省が都道府県知事に要請
■LINEでショップカード 道エネチャレンジ西野3条SS
■油販増大へ集客策次々 東日本宇佐美セルフ山の手通宮ノ丘SS