天候に左右される石油製品・原油市況
2017.2.20
今冬は地域間で気温に大きな差がみられる
 天候が石油製品の市況に影響を及ぼすことがあります。特に冬季はその傾向が強くみられます。今冬は、国内の地域間で天候に大きな差が見られ、12月は北海道、東北、北陸などの寒冷地では平年に比べて冷え込みが厳しく積雪量も多かったのに対して、太平洋岸の各地域では逆に、平年に比べて温暖な日が多くなっていました。

 例えば、札幌市の12月の平均気温は平年を約1℃下回っていましたが、東京の平均気温は平年を2℃近く上回っていました。なお、灯油の需要構成の高い寒冷地の気温が低かったことが昨年12月に灯油市況が上昇した理由になっていたと考えられます。

 なお、1月も札幌市の平均気温は平年を2℃近く下回っており、東京は2℃余り上回っています。


米国の暖冬が原油市況の下げ要因に
 米国の天候は石油製品だけでなく原油の市況をも左右することがあります。暖房・加熱用燃料の需要が増える冬季は特にこの傾向が強くなります。なお、冬季の低気温は、暖房・加熱用燃料の需要を押し上げるだけでなく、ガソリンの需要もエアコンによるエンジン負荷の増加、道路事情の悪化、自動車の使用頻度の増加などによって押し上げられます。

 昨年の米国は異常ともいえる暖冬でした。AccuWeather.comのデータによると、ニューヨークの15年12月の平均気温は平年に比べて8℃高い14℃、16年1月は1℃高い5℃、16年2月は2℃高い7℃で、15年12月~16年2月の平均気温が平年を約4℃上回っていました。

 昨年は、米国だけでなく、欧州やアジアも平年に比べて暖かい天候が続き、我が国でも、気象庁のデータによると、昨年の冬季の東京の平均気温は1981年~2010年の平均を約2℃上回っていました。

 このような暖冬の影響で、暖房油は、想定外に需要が減少したため需要期に在庫が積み上がってしまい、生産・出荷を抑制せざるを得ない状態に陥ったため、市況が崩れ、需要期の冬季にガソリンより安い価格で取引されるようになっていました。

 米国の石油製品市況に季節性がみられ、冬季はヒーティングオイルがガソリンより高くなり、夏季はガソリンの方がヒーティングオイルより高くなることが多いのですが、昨年は冬季にヒーティングオイルがガソリンより安値で取引されていました。このような状況になったのは原油市況が低迷していた02~03年シーズン以来13年ぶりのことでした。

 米国の今年の冬の天候は、11月~12月は世界の主要国の平均気温がほぼ平年並みでしたが、1月は平年を上回っていました。ニューヨークの16年12月の平均気温は7℃でほぼ平年並みでしたが、17年1月は6℃と昨年より1℃高く、平年を約2℃上回っていました。これが北米でヒーティングオイルやガソリンの需要を押し下げ、石油製品及び原油の需給調整が遅れている原因の一つになっていたと考えられます。

地球温暖化と暖冬は別物
 地球温暖化と暖冬が同じように扱われることがありますが、地球温暖化は、地球表面の大気や海洋の温度が長期的に上昇傾向で推移する現象のことで、年平均気温の変化は100年間で約1℃程度、異常暖冬とは全く次元の異なる話です。

 ただし、温室効果ガスの濃度の上昇が、豪雨、渇水、猛暑・冷夏・暖冬・厳冬、台風の大型化など、異常気象の規模や発生頻度が高くなっている理由と指摘する向きもあります。 08年には、巨大ハリケーンの襲来によってメキシコ湾の原油・天然ガスの生産や出荷が滞ったり、製油所が被災したりして、石油製品及び原油の市況が大きな影響を受けたこともありました。

 比較的短期間の原油及び石油製品市況を予想する際には、天候をチェックすることが欠かせないのです。



北海道のガソリン価格予想
4月28日(月)から5月4日(日)まで
価格下降
値戻し後の下げ基調

04月30日付ヘッドライン

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