都市ガス小売全面自由化とその影響
2017.4.20
都市ガス小売が全面自由化
 都市ガスの小売が今年4月に全面自由化されました。都市ガスの小売事業は、95年3月に年間契約数量200万立方メートル以上、需要量ベースで当時約36%を占めていた大口需要家向けが自由化され、その後、自由化範囲が、99年11月に同100万立方メートル以上(シェア約40%)、04年4月に同50万立方メートル以上(同約44%)、07年4月に同10万立方メートル以上(同約59%)へ拡大されました。

併せて都市ガス事業者に託送供給が義務付けられるなど、競争原理を一層導入するための規制・制度改革も進められてきました。そしてガス小売事業には、LNGを輸入している電力会社や石油会社などが参入し、都市ガス会社以外のガス事業者による都市ガス及び天然ガスの供給量は11年度に40億7千3百万立方メートル(1立方メートル46MJ換算、自由化分野におけるシェア17・0%)まで拡大しました。11年度以降は、原子力発電所の停止の影響などで電力各社のガス販売量が減少していましたが、小売が全面自由化されたことをきっかけに新しいガス小売事業者のシェアは再び拡大していくと予想されます。


都市ガスと電力は事情が異なる
 昨年4月に小売が全面自由化された電力と都市ガスとでは事情が異なっています。

 電力は、沖縄と離島を除くすべての地域の送電ネットワークがつながっており、全面自由化時にすべての電力会社の供給エリアで新しい電気事業者(新電力)が小売事業を開始しました。

 しかし、全国に209ある都市ガス会社の導管ネットワークは一部しかつながっていません。このため、都市ガス事業を営むためには、天然ガス、LPガス等の原料を安定的に調達する仕組みと、接続するガス導管網に同じ熱量に調整し腐臭をつけたガスを消費される量と同時に同量供給できる(同時同量)設備・システムを整える必要があります。

 このため、4月1日時点で、新たに登録したガス小売事業者は、都市ガスあるいは天然ガス事業をすでに行っていた電力会社、石油会社、都市ガス会社とその関連会社、電力会社や都市ガス会社と提携した事業者に限られており、これらの事業者が一般家庭向けの小売事業を始めた地域は、関東、関西、東海、福岡県の一部に限られています。

 今後、ガス導管が接続された事業者同士で競争が起きる可能性がありますし、ガス事業者と提携して事業に参入する新規参入者が出てくる可能性もありますが、電力のように競争が全国に広がることはありません。


LPガス業界に影響が広がる可能性が高い
 都市ガス小売の全面自由化がLPガス事業に影響を及ぼす可能性があります。LPガスは、都市ガスと違って供給インフラによる制約をほとんど受けないからです。

 LPガス事業は、95年に、事業規制が登録制から届出制に改定されるなど参入規制が大幅に緩和され、小売も自由化されていましたが、これまでLPガス業界では、商権の売買や、事業者による勧誘(いわゆる「ビン倒し」)以外でガス会社の切り替えが起きるケースはほとんどありませんでした。

 都市ガスの小売が全面自由化されたことをきっかけに、需要家がガス会社を自由に選べるようになったと認識され、LPガス業界でも需要家の選択によってガス会社を選ぶ動きが広がると予想されます。

 LPガスの価格は、規制されていませんので、ガス事業者が自由に設定することができますが、同じ地域・同じガス事業者でも需要家によって大きな価格差が生じているなど、現状は合理性に欠けています。

 今後、競争原理がより一層働くようになることで、価格の透明性が高まり、LPガスの平均料金は低下していくと予想されます。

 すでに関東地域などではLPガス事業者間で顧客の獲得競争が起きていますが、LPガスは都市ガスと違って供給インフラによって事業領域が制約されることがありませんので、新規参入者が効率的に事業を展開できる大都市圏を中心に競争が全国に拡散していく可能性が十分あると思われます。

 LPガス事業者の数は年々減少していますが、15年度末時点で2万を超えており、石油販売事業者の1万5千を大きく上回っています。事業環境が変化することで、事業者の集約ペースも加速されることになると予想されます。


北海道のガソリン価格予想
4月29日(月)から5月5日(日)まで
価格下降
仕切り価格値下げのため

04月30日付掲載予定

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