今年も入社式を取材した。希望に溢れる若者たちがリクルートスーツを身にまとい、緊張した面持ちで臨む姿は、何度見ても清々しい。

　彼らは数カ月間の研修を経て配属先が決定し、実戦で実力を身につけていくことになる。研修には新たな仲間を有効な戦力とすべく、指導スキルの高い教育担当者を当てることだろう。しかし、配属先の上司は必ずしもそうと限らないかも知れない。

　あるＳＳの取材の際、車の燃料切れ警告灯が点灯し、そこで給油。春のキャンペーンチラシを片手に声がけをする今風のオシャレをした女性スタッフ。優しい笑顔で物腰も柔らかく、時ならぬ吹雪の中で心が温かくなった。彼女に取材を申し入れた統括マネージャーの所在を尋ねると、男性スタッフに応対を引き継ぎ、そのスタッフも同様の対応でＳＳ自体に好印象を持てた。

　一方、数時間後に戻ると伝えられて再訪問した際の上司の対応は「あっち行け、シッシッ」と言いたげな真逆のもの。年度末で忙しいのだろうが、顧客への良い接遇が十二分にできるスタッフ達の眼前で自身の主張だけを一方的に述べ、人を見下した対応をするのはいかがか。老婆心ながら、スタッフが朱に交わらぬよう心底願った。

　将来に夢を持つ新入社員諸君。社会には様々な人がいる。このような上司は、身体を張ってまで悪い見本を見せる（反面）教師の１人だ。仕事のスキルもそうだが、モノの善悪を判断する目を養い、初心を忘れず飛躍してほしい。　　（蔵）