JXTGが石油業界の収益改善を牽引
2017.8.25
JXTGが石油販売事業の収益環境改善を牽引
 石油元売各社の6月期決算が公表され、元売の業績の変化によって、JXTGの誕生で石油業界の収益環境がどのような影響を受けたかを確認できるようになりました。

 JXTGホールディングスの17年4月~6月期の石油製品事業の在庫影響を除いた営業損益は、前年同期の10億円の赤字から249憶円の黒字へ大幅に改善しました。JXTGは、収支が変化した要因を、数量減▲7億円、白油マージンの改善等+201億円、統合シナジー+53億円、特殊要因反転+12億円と説明しています。

 コスモエネルギーの17年4月~6月期の石油事業の在庫影響を除いた経常損益も、前年同期の80億円の赤字から79億円の黒字へ改善しました。コスモエネルギーは、収支が改善した理由を、マージン及び数量変化+85憶円、輸出事業の収益拡大+9億円、製油所の稼働率改善等による精製コストの変動他+64億円と説明しています。

 出光興産の4月~6月期の石油事業の在庫影響を除いた営業損益は、前年の107億円から今年は129億円へ改善しました。変動要因は、製品マージンの改善+46億円、自家燃料コストの増加等▲24億円と説明しています。このように石油元売各社の4月~6月期の石油事業の実質損益は、製品マージンの改善によって押し上げられていたのです。

石油製品市況も収益環境の改善を示唆
 石油製品市況の集計データからも石油事業の収益環境が改善している様子を確認することができます。石油情報センターによる給油所小売価格調査、卸価格調査の全国平均と原油輸入コストから計算される17年4月~6月期の石油製品の精製・販売マージンの平均値は、レギュラーガソリンが㍑29・1円、軽油が㍑32・0円で、前年同期と比べてレギュラーガソリンが㍑3・4円、軽油が㍑0・9円拡大しています。自家燃料コストの増加分を考慮しても、ガソリンのマージンは明らかに改善していると考えられます。

 レギュラーガソリンのマージンを卸売マージンと小売マージンに分けて算定すると、卸売マージンが前年の㍑16・8円から㍑15・7円へ㍑約1円縮小した一方で、小売マージンは㍑9・0円から㍑13・4円へ㍑4円余り拡大しています。昨年から今年にかけて収益環境が改善しているのはSS店頭なのです。

 SS店頭市況が改善している要因のひとつは、JXTGエネルギーが、需給を引き締め、安売りの是正に積極的に取り組んでいるからと考えられます。

 石油業界関係者によると、JXTGエネルギーは、経営統合を控えた昨年末から年明けにかけての時期に商社ルート及び業転市場への製品供給を絞り込むとともに、エネオスフロンティアなどの販売子会社が市況の是正に積極的に取り組むようになったと噂されています。業界関係者へのヒアリング、SSの店頭価格を調査・公表しているウェブサイトの情報などをみる限り、この噂の信ぴょう性は高そうです。

 また、エネルギー供給構造高度化法(以下「高度化法」)の2次告示を達成するため、精製・元売各社が設備の集約や能力の削減に取り組んだことも市況の是正に貢献していると考えられます。高度化法の1次告示直後の14年4月に394万6千BD(日量バレル)だったトッパー(常圧蒸留装置)の処理能力は16年4月に381万6千BD、17年4月に351万6千BDと着実に削減されました。

 この結果、定修による影響を除いたトッパーの実質稼働率は16年4月~6月の91%から17年4月~6月の96%へ約5%ポイント上昇しましたが、ガソリンの在庫はほぼ前年並みの水準に抑制されています。


SS市況をさらに是正するために必要と思われる対策
 SS市況をさらに是正するためには、どのような対策が求められるのでしょうか。

 まず、元売各社が常に需給の適正化に努めて、業転市場に安値玉が大量に提供されないように努めることが重要な対策と思われます。

 さらに、各地でシェアを拡大している元売の販売子会社や出資特約店、有力特約店などが、今回、JXTGエネルギーが取り組んでいるように適正価格での販売に努めることが肝要です。

 また、SSでのマージンを保証するような値決め方式や商慣行の是正を進めることも必要と思われます。

 生産量がコストに影響する精製・元売では、量販に有効なこのような仕組みをやめると一時的に販売量が減少して収益が悪化するリスクがありますが、市況の悪化がそのまま収支の悪化につながる販売業界は事情が異なります。

 このような仕組みを見直すことができる好機は、全国的に市況が改善している時期か、経営統合などによって需給構造が変化するタイミング、すなわち今だと思われます。


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

04月30日付ヘッドライン

■「採算販売」最優先に 北石連・商理事会が総会提出議案承認
■「まずは技術力磨け」 HNCが勝ち組SS応援セミナー
■基本方針への準拠求める 官公需で経産省が都道府県知事に要請
■LINEでショップカード 道エネチャレンジ西野3条SS
■油販増大へ集客策次々 東日本宇佐美セルフ山の手通宮ノ丘SS