石油製品の国内市況が上昇した理由
2018.2.20
16年3月以降に上昇した石油製品の国内市況
 灯油市況が上昇しています。資源エネルギー庁から公表されている給油所小売価格調査によると、灯油の店頭小売価格(消費税込み)の全国平均は昨年9月11日から21週連続で上昇し、18年2月5日の価格は1㍑当たり87円90銭と9月上旬の76円10銭に比べて11円80銭上昇しました。16年3月の安値61円と比べると26円90銭高くなっています。

 レギュラーガソリンの18年2月5日の全国平均価格(消費税、揮発油税及び地方揮発油税込み)も1㍑当たり144円90銭となっており、16年に最も価格が低下した3月上旬の112円と比べると32円90銭上昇しています。

 石油製品市況の上昇理由の一つは原油価格の上昇です。一般にはこれだけで説明されることがありますが、理由は他にもあります。小売価格には、需給、需給に影響を及ぼす可能性がある諸事情、石油事業者の販売政策などを受けて変動するマージンの変化も反映されるからです。


上昇理由の一つは原油価格の反発
 我が国は原油の99・7%を輸入していますので、原油のコストはほぼ輸入コストによって左右されますが、原油の輸入コストは、ドルベースの原油購入価格、タンカーフレート、金利、為替などによって構成されています。

 原油の取引価格は油種によって異なりますが、原油の国際指標の一つとされるニューヨーク商品取引所(NYMEX)の先物価格(一般に代表油種の「WTI原油」と呼称される)と我が国が主に輸入している中東産原油の現物取引価格との間には大きな差が生じることがあります。16年は中東産原油の方がWTI原油より割安でしたが、17年半ば以降は割高になっています。

 これは、OPECなど主要産油国が17年の初めから協調減産を実施している一方で、北米ではシェールオイルが増産されていますので、需給状況に差がみられること、中東でサウジアラビアの政治情勢の緊迫など地政学リスクが生じていることなどを反映していると考えられます。

 なお、原油輸入CIF価格は、16年3月が1リットル当たり22円90銭、18年1月は45円50銭前後になる見通しです。タンカーフレート、金利、為替の変動による影響はそれほど大きくありませんので、原油コストの増加は主にドルベースの原油価格の上昇によると考えられます。


元売の経営施策の変化も上昇理由
 石油製品のマージンは、石油精製、自家燃料、物流、石油精製・元売会社の管理間接部門、卸売事業、小売事業などのコストと、石油精製・元売・販売各段階の利ざやによって構成されます。

 全国平均価格をベースにしたレギュラーガソリンの精製・販売マージン(小売価格と原油コストとの値差)は、16年から17年にかけて拡大傾向で推移し、16年3月に25円20銭だったマージンは18年1月(推定)に31円70銭と6円50銭拡大しています。

 一方、18年1月の灯油の精製・販売マージンの推定値は32円50銭で16年3月の32円20銭と比べるとほぼ同じ水準ですが、16年平均の28円30銭と比べると4円余り拡大しています。

 このように石油製品のマージンが拡大したのは、石油精製能力の削減による国内需要と精製能力とのギャップの縮小、17年4月にJXエネルギーと東燃ゼネラル石油の統合によって誕生したJXTGエネルギーなどの元売会社による需給の引き締め、並びに、採算販売の徹底に取り組んだ効果によると考えられます。

 すなわち、原油価格が底入れした16年3月以降の石油製品の国内市況の上昇は、ドルベースでの原油価格の上昇と、石油精製・元売の経営施策によってもたらされたと考えることができるのです。


異常寒波が長引くと灯油市況高騰も
 なお、灯油は、全国的な異常寒波の影響で需給がひっ迫傾向にあり、1月からスポット市況が急騰して、1月初旬から2月初旬にかけての上昇幅は8円前後に及んでいます。スポット市況の上昇は元売各社の仕切価格にほぼ反映されていますが、まだ小売市況にはこの影響が一部しか反映されていません。

 小売市況に反映できないと販売業者の利ザヤが圧迫されることになります。販売事業者は、コストの上昇理由をお客様に丁寧に説明して、製品値上げへの理解を求める必要があると思われます。


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

04月30日付ヘッドライン

■「採算販売」最優先に 北石連・商理事会が総会提出議案承認
■「まずは技術力磨け」 HNCが勝ち組SS応援セミナー
■基本方針への準拠求める 官公需で経産省が都道府県知事に要請
■LINEでショップカード 道エネチャレンジ西野3条SS
■油販増大へ集客策次々 東日本宇佐美セルフ山の手通宮ノ丘SS