原油と石油製品の価格の季節性
2018.4.20
原油価格には季節性はない
 石油製品の価格には季節性があるものとないものがあり、その事情は、国・地域によっても異なります。

 まず、国際商品である原油の価格には季節性は見られません。

 原物取引価格の指標の一つになっているニューヨーク商業取引所(NYMEX)のCrude Futuresの先物期近価格の1987年から2017年の各月の平均を比較すると、最も平均が高い月は7月で1バレル当たり45・8ドル、もっとも安い月は1月で41・3ドル、冬季の12月~2月が41ドル台~42ドル台、7月~9月の夏季が45ドル台でしたので、この結果だけからすると、夏季の方が冬季より高いと言えなくもないのですが、この31年間で最も多く高値をつけた月は12月の9回、2番目が1月の6回で、2月の2回を含めると、半分以上の年で冬季に高値を記録していますので、夏季の方が冬季より高いと評価することはできません。

 また、原油先物市場の限月別の価格の推移を見ても、期近物の油価が低迷していた時には期近物に比べて期先物が高くなる先高(コンタンゴ)、価格が高騰していた時には期先物が安くなる先安(バックワーデーション)となる放物線を描いていましたので、やはり原油には季節性がないと判断するのが妥当と思われます。

米国では石油製品価格に季節性が見られる
 一方、石油製品の価格には国・地域によって季節性が見られるケースがあります。

 石油製品の価格は、原油価格の動きを反映しますので、季節性があるかどうかを、石油製品と原油価格との値差(クラッキングスプレッド)によって判断した結果は以下のとおりです。

 NYMEXの石油製品と原油の先物期近価格から算出したクラッキングスプレッドの変化を見ると、ガソリンは、10月~12月に最も小さくなった後、1月~3月にかけて拡大し、3月~7月に最も大きくなり、8月~12月にかけて縮小する傾向が見られます。対して、ヒーティングオイルは、1月~3月にかけて縮小した後、年末に向けて拡大する傾向が見られます。このように米国では、ガソリンとヒーティングのクラッキングスプレッドは逆相関になる傾向が見られるのです。

 また、ガソリン、ヒーティングオイルのいずれも、需要がもっとも増える月ではなく、その数カ月前に高値をつけることが多くなっているのですが、これは在庫を積み上げる時期に価格が上がりやすいと考えることができます。なお、先物の限月別の価格水準も前述した季節性の経験則に従って推移することが多くなっています。


系列取引主体のわが国では石油製品個別の特徴は見られない
 わが国では、石油製品のクラッキングスプレッドは、製品を問わず3月~9月に拡がり、11月~1月に縮まる傾向が見られ、製品間で特徴的な差が見られません。もちろん、灯油については、今季のように冬季に厳しい冷え込みが続いたケースでは需要が急増して需給がひっ迫し、市況が高騰することがありますが、逆に暖冬の年には冬季に夏季よりクラッキングスプレッドが縮小することもあります。

 なお、わが国の石油製品の流通市場では、石油元売と取引契約を結んだ販売事業者間で行われる系列取引が主体であることが、米国と価格形成が異なっている背景事情の一つと思われます。このため、需給ギャップや元売の生産・供給政策などによって、すべての石油製品の市況が概ね同じように変化していると考えられます。

 昨年は、4月に誕生したJXTGエネルギーが、卸売市場で需給を引き締め、小売市場で採算販売を徹底したことによって、ガソリンなど石油製品の利ザヤがほぼ全国的に拡大しました。今年は、JXTGが昨年来の販売政策を継続するかどうかに加え、JXTGが採算販売を徹底したことによってシェアを拡大した他元売がどのように対処するかによって、石油製品の国内事業の収益性は左右されることになると予想されます。


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

04月30日付ヘッドライン

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