道央で開催されたあるＨＶ研修は、雨が降ったり止んだりの微妙な天候の中での実習となった。

　スタート時はそれまで降っていた雨も止み、講師が示す個所を食い入るように見つめ、熱心に聞き入る参加者の姿に「このまま終わってほしい」と願ったが、途中で若干ぬれる程度の小雨が降り出した。

　その時はメンテナンスモード移行操作の体験中。順番が来る前に、実際の操作を見ながらイメージトレーニングをしようと外で待機していた参加者は、傘を持たずに立っていたが、庇の下で順番待ちをしていた参加者の１人が、ぬれた体で車に乗り込むことになっては失礼だと思ったのか「傘ありませんか？」と、実習場所が見えるロビーで作業をしていた事務担当者に申し出た。

　誰かに言われて申し出たのでないことは明らかだ。実習の邪魔にならないような声量で空を指差し天気の状況も伝えたとっさの状況判断の鮮やかさに、思わず「お見事」とつぶやいてしまった。

　偶然だが、実習前の休憩時間に受講した感想を尋ねたのもその彼。こちらが尋ねたことに加え、自身がお客さんと接する中で感じていることなども交えつつ、心からの笑顔で答えてくれたその姿に「彼のお客さんも同じように感じているのだろう」と思った。

　ＣＳ（顧客満足度）向上の秘訣は心からの笑顔だ。仮に仕事面での不器用さがあっても、笑顔はそれを補って余りある。そのことに改めて気付かせてくれた彼の今後の活躍を切に祈りたい。　　　　（蔵）