危険物施設数の減少とは裏腹に、ここ10年の危険物施設事故は小幅な増減を繰り返しながらも横ばい、やや増加傾向で推移し、関係者の危機感をあおっている。
消防庁がこのほどまとめた平成30年1月から12月までの事故発生状況でも前年と比べて火災、流出事故ともに増加、運搬中など危険物施設以外の事故も含めれば過去10年で最多となっている。
消防庁のまとめによると、平成30年中に発生した危険物施設事故は、火災が前年より11件増えて206件、流出事故が34件増えて403件の計609件。これに無許可施設や危険物運搬中など危険物施設以外で発生した火災5件、流出事故19件を合わせれば633件となり、4年ぶりの600件台であるとともに、過去10年で最も多かった。
危険物施設数が前年の41万651カ所から40万5238カ所へと5413カ所も減少している中での増加で、危険物施設1万カ所当たりの事故発生率は15・11となり、前年の13・81を大きく上回っている。
ちなみに、過去30年で事故発生件数が最も少なかったのは、平成6年の287件で、この時の危険物施設数が56万790カ所だったことから、昨年と比較すれば「危険物施設数が4分の3以下にまで減少しているのに対し、事故発生件数は2倍以上になっている」ということになる。
危険物施設以外で発生したものを除く事故の原因は、火災で53・4%が維持管理や操作確認が不十分だったことなど人的要因、28・6%が腐食疲労等劣化や施工不良など物的要因、他方、流出事故では53・3%が腐食疲労等劣化や破損など物的要因、37・2%が操作確認や監視が不十分だったことなど人的要因となっている。
また、SSを含めた給油取扱所における事故発生は、火災が前年より3件減って23件、流出事故が25件増えて77件の合わせて100件だった。
なお、道危機対策課のまとめによると、道内で平成30年中に発生した危険物施設事故は、火災6件、流出事故128件の合わせて134件。
平成21年以降、道内では50、60件台で推移してきた事故発生が、平成25年以降は極端な増減を繰り返し、28、29年はともに過去10年で最多となる85件となっていたが、昨年はそれをも大きく上回った。