
あすから7月、石油業界にあっても「儲け時」となる夏商戦がいよいよ本番を迎える。燃料油需要の減退といった構造的課題に加え、深刻の度を増す人手不足や製品価格の高止まりに伴う節約意識の再燃といった「逆風」も吹き付けるが、一方で元売各社の施策がもたらした需給のタイト化に伴う良好な収益環境が依然として続いており、個人消費の伸びとも合わせて「追い風」がそれを少し上回りそう。めぐってきた好機に期待は膨らむ。
5月のゴールデンウィーク直前から市況が乱れはじめ、ガソリン口銭が10円に届かない低マージンをお盆明けまで引きずってきたのが、これまでの本道石油業界。漸減する自燃油の補完として力を入れる洗車などの油外販売も思ったほどには伸ばせず、灯油で蓄えた収益を食いつぶす夏商戦を強いられてきた。
ところが昨年あたりから、こうした状況にも変化が見られる。無論、燃料油需要の減少といった構造的課題に加え、深刻の度を増す人手不足や製品価格の高止まりに伴う節約意識の再燃、さらには働き方改革への出費増など「逆風」は今も吹き付けるが、出光興産と昭和シェル石油との経営統合でさらに進んだと言われる需給のタイト化が良好な収益環境を持続させており、各販売業者の素早い仕切り上昇分の転嫁や個人消費の伸びなどとも合わせ「追い風」がそれをやや上回る状況となっている。
油外も車販・買取やレンタカーなどの車関連事業を中心に好調が伝えられており、多くの販売業者は期待感を隠さない。
ただ、こうした追い風も適正な市況の構築、維持が大前提。系列玉と業転玉との価格差がやや広がる傾向にある中で、安値攻勢がまたぞろ顔を出せば、せっかくの好機が台無しになる。一部地域に見られる本州資本をめぐっての市況混乱も、それと同様の理由で気になるところだ。
これから本番を迎える今年の夏商戦。将来に向けた事業戦略に取り組む好機とすべく、再投資可能な収益の確保にこそ血道を上げたいもの。
北海道のガソリン価格予想
5月12日(月)から5月18日(日)まで
価格上昇
値戻しの機運高まる
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05月20日付掲載予定
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