札幌など5石協から100人余り が参加して開かれた研修会
あと2カ月余りに迫った消費税増税。今回は税率の改定だけにとどまらず、軽減税率との複数税率制度の導入や、需要の平準化などを目的とするキャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)などもあり、分かりづらい部分が多い。そうしたことを受け札幌石協など道央圏5石協は16日、札幌コンベンションセンターで「消費税に関わる研修会」を開催。全石連の坂井信常務理事がポイント還元事業に絞り、SSでの対応策も含めて制度を解説した。
消費税増税に合わせて10月から9カ月間にわたり導入されるポイント還元は、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、QRコードなど現金以外で決済した場合に消費者が恩恵を受けられる制度だが、需要平準化対策、キャッシュレス化推進、中小企業支援対策と目的が多岐にわたるため分かりづらいのが実情だ。
札幌、小樽、千歳、苫小牧、南空知の5石協が開催した研修会は、SSにおける対応への不安払拭を目指したもので、100人余りが参加した。
坂井常務は、系列、非系列を問わず還元率が2%となることや、補助対象となる中小・小規模事業者は、卸売業で資本金等が1億円以下または常時使用する従業員が100人以下、小売業で資本金等が5千万円以下または常時使用する従業員が50人以下で、いわゆる過少資本企業(直近3年平均の課税所得が15億円超の企業)は対象とならないことを説明。
また、現時点でJXTGエネルギーなど元売各社いずれもガソリン、灯油、軽油を対象商品(太陽石油はカーケア商品等も対象)とし、各社発行のクレジットカード(ハウスカード)に限り「系列SSネットワーク全体で事業に参加する」ことを表明、制度対象外の大規模事業者の系列SSについては自社負担とすること、また、混乱防止のためポスターやチラシなどの配布を含めた対策を講じる考えであることなどを紹介した。
さらに自社ハウスカードを発行している販売業者や商社系を含むPB等の対応について、系列SSと同様、一般提携カードはポイント還元の対象としない方向であるものの、自社カード分についてはカーケア商品等も含めポイントを還元することが考えられることなども明らかにした。
系列企業は元売、非系列企業は決済事業者に加盟店登録しIDを取得することになるが、坂井常務はポイント還元事業の影響について、還元できないPB等の値引き販売による市況の混乱や、それへの追随による経営の悪化、任意のポイント還元や値引き価格看板の乱立による消費者の混乱が懸念されるとし、配慮が必要だと強調。
また、SSで取り扱う商品やサービスで一般店舗(5%還元対象)と競合する灯油や洗車、車検などについて、競争上の格差が生じることへの留意も求めた。
これらのほか参加者から事前に出されていた質問にも答えながら坂井常務は、QRコード決済などによる対象商品以外へのポイント還元も考えられるとしたが、端末の導入や手数料などでコスト負担が生じるのに加え経理処理が極めて煩雑になるとし、さらに現金化まで時間がかかることで資金繰りにも影響が出るとして慎重な検討、判断を呼びかけた。