消費者団体や供給者側の代表ら23人が意見交換を進めた
冬の足音が次第に大きくなる中で北海道経済産業局と北海道は5日、札幌第1合同庁舎道経産局会議室に消費者側、供給者側双方の代表らを集めて令和元年度「北海道地域灯油意見交換会」を開催。今冬の灯油をめぐる情勢を共有するとともに、灯油価格や災害時の対応などをテーマに意見を交わした。中で消費者側からは、灯油価格の「天気予報的」情報発信や集合住宅などへの小口配送(階上給油)に関する実態調査を求める声が出された。
意見交換会には、道内各地の消費者団体代表に加え、行政機関や関係機関・団体などから23人が参加。供給者側代表として石油業界からは、JXTGエネルギー北海道支店の君島崇史支店長、出光興産北海道支店の佐々木明彦支店長、北石連の河辺善一副会長、北燃連の森川時夫会長、エネコープの渡邉美彦専務が顔をそろえた。
冒頭、道経産局資源エネルギー環境部の近藤裕之部長があいさつしたのに続き、資源エネルギー庁石油流通課の山岡寛課長補佐が石油流通業の最近の取り組みについて基調報告。また、石油連盟調査・流通業務部の半田裕一部長が需給、石油情報センターの橋爪吉博事務局長が価格にかかわり概況を説明した。
山岡課長補佐は、住民拠点SSの整備や油槽所への非常用発電機の整備など、災害時の燃料供給強靭化に向けた主要対策や進捗状況などに言及したほか、新しい石油産業像に関する研究会の主要メッセージも紹介。
半田部長は、10月26日時点の灯油製品在庫が280万kl、43日分と「昨年よりやや高い水準にある」ことを明らかにした上で、今冬の灯油供給にかかわり「寒波などで需要が急増しても元売各社には十分な生産余力があり、輸入による対応も可能なことから、安定供給に支障をきたす恐れはない」と強調した。
また、橋爪事務局長は灯油価格と連動性が極めて高い原油価格の先行きについて「不透明感が強く予測は難しい」としながらも、やや弱含むと見る市場関係者が多いとして、急騰の可能性は少ないことを示唆した。
このあと灯油価格や災害時の対応、消費税増税に伴う諸施策や便乗値上げ、階上給油、石油製品価格の地域間格差などを俎上に載せ意見交換。
価格については、消費者側から「天気予報的な情報の発信を」といった要望が出されたが、橋爪事務局長が原油価格の先行きが読めないことなどから「難しい」とした。
災害時の対応については君島、佐々木両支店長が、BCPに基づく対応を進めるとともに、油槽所などへの非常用発電機の設置、出荷基地の相互乗り入れなどで安定供給に努めていることなどを紹介。住民拠点SSの周知が不十分だとする消費者側の指摘には、道経産局資源・燃料課の清野正樹課長が、店頭表示用のロゴマークを現在、特許庁に申請していることを明らかにした。
また、階上給油については河辺副会長、森川会長が、努力はしているものの「八方ふさがりの難しい問題」だと苦渋をにじませる一方、渡辺専務が配送と搬入とを分離する実証実験を旭川で進めているとしながらも「料金をもらってもできないのが現状だ」とし、行政も含めた検討、取り組みの必要性を提起。消費者側からは「公住では(上の階から下の階への)住み替えも可能だと言われるが、階上給油がどれくらいあり、個人負担がどれくらいになっているのか実態調査が必要だ」との意見が出された。