灯油商戦 やっと本番
顧客との接点強化が鍵
2019.11.25

配送用灯油の荷積みも頻繁に
 灯油の本格需要期に入って1カ月半余り。上空に真冬並みの寒気が入り込んで冬型の気圧配置が強まり、日本海側を中心に暴風雪となった今月中旬以降、灯油商戦も一気に本格化してきた。消費増税に伴う駆け込み需要の反動に気温の上昇も加わり落ち込んだ販量を回復する好機到来とも言えそうだが、人手不足など課題も多く、今後への懸念も広がっている。


 札幌管区気象台によると、今年10月は高気圧に覆われて晴れた日が多かったことから、全道的に日最高気温が過去最高となる地点が続出。とりわけ太平洋側の月平均気温は、統計開始以降最も高く推移したという。

 また、消費増税を前に9月中の配送、給油を顧客にアナウンスした販売業者が多く、その反動減もあって商戦序盤は「似たような状況だった昨年をさらに下回り、例年の60、70%程度」といった声も聞かれるなど「ある程度は想定内」ながら、各販売業者の焦燥感をあおった。

 ただ、そうした状況も今月に入り一転。前線を伴った低気圧の接近から道内各地で初旬に初雪を観測すると、中旬には真冬並みの寒気が入り込んで冬型の気圧配置が強まり、日本海側を中心に暴風雪となるなど、商戦は一気に本格化した。

 胆振東部地震を契機とした「最後の砦」としての灯油の有用性に対する再認識もあって、落ち込んだ販量回復の好機到来とも言えそうだが、一方で今シーズンは昨シーズンまでとは違った状況も見え隠れし、今後への懸念も広がっている。

 先読みが難しい価格もさることながら、人手不足に働き方改革が追い打ちをかけての配送コストの増大、それに反比例する収益の縮小が最も心配されるところ。小口配送にもなかなか対応できないのが実情で、IoTの活用による配送の効率化なども徐々に進みつつあるようだが、一朝一夕には解消できない課題として重くのしかかる。

 さらに価格が高止まりすれば、都市ガスなどの攻勢がますます強まるのは自明。当面は、顧客との接点を今以上に強化することで乗り切る以外になさそうだ。


北海道のガソリン価格予想
5月6日(月)から5月12日(日)まで
価格上昇
実質ベースで仕切り価格が上昇

05月10日付掲載予定

■ガソリンは年平均2・6%減 24~28年度石油製品需要見通し
■期待外れも「そこそこ」 GW商戦
■北広島でシェアサイクル 道エネが6カ所に自転車100台配置
■2年連続の前年割れ 5年度の国内燃料油販売
■油外全般好調に推移 悩みは人手不足 ナラサキ石油白石SS