変化は緩やかだが経営改革は待ったなしの状況に
2019.12.20
普及要件を満たしつつあるEV

 新しい商品が普及するかどうかは、①安全の確保、②社会ニーズとのマッチング、③既存あるいは競合商品に対する性能・機能面での優位性の確保、④供給インフラの整備、⑤経済性(コストパフォーマンス)などによって左右されます。




 電気自動車(EV)は、地球環境問題への関心の広がりを背景にした社会ニーズの高まり、性能・機能の進化、充電インフラの整備などが急速に進んでいます。車両価格、航続走行距離、充電に要する時間、充電インフラの普及などのネックも解消されつつありますので、ほぼすべての要件を満たし、数年内に本格的な普及期を迎えると予想されます。

 一方、天然ガス自動車や燃料電池車(FCV)は、商品化されましたが、既存車に対する性能・機能面での優位性が十分に確保できず、インフラの整備、コストパフォーマンスなどのネックを解消できるめどが立っていません。

 天然ガス自動車は、海外では、中国、イラン、パキスタン、アルゼンチン、インド、ブラジルなど百万台規模で普及していますが、国内では、90年代半ばに導入されてから20年余りが経過しましたが、19年3月末時点の普及台数は約4万8千台にとどまっています。コスト面での優位性が乏しいこと、天然ガスの急速充電所が全国で239カ所にとどまっていることなどが、普及が進まない理由と思われます。今後も急速に普及するとは思えません。

 FCVは、水素化社会の実現に向けた利用分野の要のひとつとして期待されていますが、EVと同じ電動車でEVと競合する面が少なくありませんし、EVに比べると、発電ユニットを搭載するため車両の構造が複雑で、製造コストの低減が容易ではありません。水素供給インフラを新たに整備する必要もありますが、こちらも設置並びに運営面でのネックを解消するのが簡単ではありません。関連技術、コスト、水素供給体制などにおいて、よほど大きなブレークスルーがない限り、FCVがEVを押しのけて広く普及するようになるとは思えません。

 しかしながら、本格的に普及する次世代車がEVだけになったとしても、石油並びにSS業界が将来的に受けるインパクトは小さくありません。ガソリン需要の減少ペースが加速したり、メーカー指定を受けていない事業者が車両の点検・整備を行うことが難しくなったりすると思われます。

EV普及による石油業界への影響は緩やかに広がる

 ただし、ガソリン及び軽油の需要にすぐに大きな影響を及ぼすわけではありません。

 1年単位での影響は、廃車されて置き換わる車の分だけだからです。新車によって置き換わる車の比率は過去10年の平均で乗用車が年率約7%、商用車が同約5%程度ですので、新車の半分がガソリンや軽油を消費しないEVやFCVに占められるようになったとしても、その直接的な影響は置き換えられる車の半分の年率3%強にとどまります。

 また、SSの点検・整備の収益獲得機会が減少すると予想されますが、タイヤやアクセサリーパーツ等の販売、洗車、コーティング、軽鈑金(リペア)などのサービスは従来の車と同様に提供することができますので、SS業界では、マーケティングを工夫すれば、カーケアサービスの収益を拡大することもできます。

変化は緩やかでも経営改革は待ったなしの状況に

石油業界における1年ごとの変化は緩やかですが、経営改革に関しては、待ったなしの状況が近づきつつあると思われます。後戻りする可能性がほとんどないからです。例えば、SSにおけるカーケアサービス事業のマーケティングは、異業種との競争の激化、燃費の改善、車両構造の変化なども考慮すると、これまで来店客にお勧めする「待ち」から、利用者を積極的に呼び込む「攻め」に変える必要があると思われます。

 ビジネスの世界は、ほぼ「先手必勝」。いち早く対応できるかどうかが将来の成否を大きく左右すると考えられます。






北海道のガソリン価格予想
2月24日(月)から3月1日(日)まで
変わらず
値下げの動きもあるが、仕切り価格は小幅ながら上昇

02月20日付ヘッドライン

■灯油配送に集中 北海道・札幌市消費者センターへの苦情・相談
■「将来の姿」など明記 エネ施策懇談会が報告書取りまとめ
■事例交えポイント解説 道が事業承継セミナー
■夏タイヤ販売にも着手 前側石油東北通SS
■減収減益 JXTGホールディングスなどが第3四半期決算公表