逆風吹き荒れる石油業界
精販の密な連携欠かせず
2021.1.25
 ◎…政府は年明け早々の今月8日から来月7日まで東京都と神奈川、埼玉、千葉の3県に緊急事態宣言を発令、波乱の幕開けとなった。昨年春以来、2度目となるが、石油業界への影響を懸念する業界関係者も多い。昨年春以降、新型コロナウイルスの感染拡大による大減販の経験から、多くのSSがマージンを取ることに努めた。コロナ禍以前はガソリンの内需減少が20~30%となるのは10年後と想定されていたが、昨年春以降、その状態を経験した、と話す特約店幹部。また、ある特約店会長は「燃料油の需要が減少しても経営が成り立つよう2035年を意識し、今年はマージンを確保する利益重視の経営を確実なものにしなければならない」 「減販が続く中、局地的な廉売合戦が懸念材料。自分のSSは自ら守るという自己防衛意識が肝要だ」と強調する。

 ◎…昨年、政府が宣言したカーボンニュートラル。石油業界にとっては事業存続への危機感を抱かざるを得ない。とりわけ元売会社は脱炭素社会の到来を見越した事業戦略を進めている。太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー事業への参入、石油精製で培った技術を生かした新素材開発などだ。 「将来的にENEOSは水素分野に軸足を置いており、水素供給網の確立を進めている。水素社会を見据えたもので、元売各社で業容変更、業態転換を目指す動きが活発になるのは必至だろうが、我々、販売業者はガソリン販売が生業。簡単に業容変更とはいかない」と苛立つ業界関係者も少なくない。

 ◎…2回目の緊急事態宣言の発令で、宣言対象地域の多くの企業が在宅勤務、テレワークを実践している。元売各社も同様で、在宅勤務シフトを敷いている。 「前回も元売はいち早く在宅勤務体制を取り入れた。在宅勤務、テレワークは時流で仕方ないが、元売担当者は販売最前線のSSとのキャッチボール、対話だけは忘れないでほしい」と注文する声も聞こえる。

 ◎…政府が昨年秋に宣言した2050年カーボンニュートラル方針、そして東京都が打ち出した2030年ガソリン車ゼロ方針、政府の2030年代半ばのガソリン車ゼロ方針など、石油業界にとっては逆風のオンパレードだ。 「昭和の高度成長期、石炭から石油へとエネルギー転換が進展した。時は流れ令和、あと9年後に東京都のガソリン車ゼロ方針がどういった形で現実のものになるのか非常に気がかり。元売各社は系列特約店、販売店とキャッチボールしながら、生き残りの術を追求してほしい」と訴えるSS業界関係者が増えている。


北海道のガソリン価格予想
4月22日(月)から4月28日(日)まで
変わらず
仕切りにより、値上げも

04月20日付ヘッドライン

■広がる困惑、失望感 対量販構図変わらず 札幌市場
■昨年度、減少に転じ17件 危険物取扱者の違反行為
■3月決算組「まずまず」 収益環境の良化が支える
■消費、供給ともに減少 2022年度エネルギー需給実績
■42%が「月に1回以上」 GfKJapanが洗車で調査