先行する脱ガソリン車問題
欠落する災害発生時の議論
2021.3.15
 ◎…あの東日本大震災から10年。SSに給油客が殺到する中で安定供給に全力を傾けた特約店関係者は「給油車両の誘導整理はもとより限定給油のお願いなど、店長やスタッフの苦労する姿は10年たった今でも忘れられない」と語る。東日本大震災以降も毎年のように起こる自然災害。そのたびに地域に密着した安定供給に努め、災害復旧現場に欠かせない重機、発電機の動力源となる燃料油を配送するなど自然災害の復旧に欠かせないのがSSであり特約店、販売店関係者だ。

 ◎…ある特約店の会長は「昨今、右を見ても左を見ても脱炭素社会、ガソリン車から電動車へということが叫ばれているが、東日本大震災以降も全国各地で大規模な自然災害が発生しており、その復旧工事には燃料油が必要不可欠。脱炭素社会の到来は否定できないが、インフラ整備ができないままガソリン車廃止論に前のめりなるのはいかがなものか」と強調する。全石連関係者も「昨今の脱ガソリン車問題で、災害時の議論が欠落していることが不思議でならない」とし、さらに「持続可能な社会の実現に向けたグリーン成長には理解を示さなければならない。しかし、自動車の電動化には家計への負担や災害リスク対策など国民の側に寄り添った視点が欠かせない。我々としては一喜一憂することなく、今後とも根拠あるデータに基づく冷静な議論を求めていきたい」と政府に注文をつける。

 ◎…元売各社は、脱ガソリン車問題によって中期経営計画の見直しに迫られているようだ。出光興産は小型電気自動車事業への新規参入計画を発表しており、また、ENEOSも燃料電池自動車向けの水素充填設備をSSに併設する考え。脱ガソリン車、脱炭素社会といった言葉が先行する中で「今のところ系列元売からは具体的な対応指針が示されていない」といった声が特約店関係者から聞かれている。来月からの新年度を前に具体策を示すことができるのかどうか。また、元売だけでなく資源エネルギー庁にも、今後の石油政策の中で販売最前線であるSSの立ち位置を示してほしい、というのが石油流通関係者のナマの声と言えそうだ。


北海道のガソリン価格予想
6月30日(月)から7月6日(日)まで
価格上昇
仕切上昇

06月30日付ヘッドライン

■灯油代金の支払い平準化 エネコープが灯油積立サービス実施へ
■85.9%に何らかの影響 人手不足で道経済部が調査
■仕切り乱高下 道内各市場対応に苦慮
■負担軽減へ支援第4弾 LPガス利用者に北海道
■カーリースにも総力結集 車検客らに猛アピール ナラサキ石油東北通SS