揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法)で定める規格に適合しないガソリンなどをSSで販売する事例が令和2年度には全国で269件あったことが、資源エネルギー庁のまとめでこのほど明らかになった。また、立入検査を行った86件のうち4割近い32件には、燃料油の品質不適合など「指摘事項」が残されままだったことも明らかになっている。
令和2年度(令和2年4月~令和3年3月)中に発生した事故や全国石油協会を通し行っている試買調査などによって判明した品確法不適合事例は、前年度と同数の269件。ここ5年では平成28年度の405件をピークに減少傾向にある。
これら不適合事例には資源エネルギー庁などが立入検査を行って「適正な品質のガソリンなどの販売に関する指導」をしており、コロナ禍で例年より大幅に数を減らしたものの、2年度も86件について実施した。
その結果、32件にガソリンなどの品質の不適合や未分析といったものなどのほか、登録や届出内容の不備、分析帳簿など書類管理や店頭表示の不備も含め「指摘事項」が残されていたことも明らかになっている。
資源エネルギー庁ではまた、消費者などに影響を与える恐れが高い事例として、灯油や軽油へのガソリン混入、河川への灯油流出といった3事例の原因や発生後の対応なども示し、一層の品質管理の徹底を求めている。
灯油へのガソリン混入事例は、運送会社作業員の作業ミスとSSスタッフの立ち会いの不備によるもので、発覚後、販売を停止して消防に通報するとともに顧客への電話連絡なども実施。立ち会いの徹底や在庫管理の徹底、流通経路の一本化などの再発防止策を策定している。
軽油へのガソリン混入事例は、急用ができてガソリンのドラム缶を軽油のドラム缶置き場に仮置きしたことを忘れ、軽油を補充すべくガソリンのドラム缶を運搬し、軽油ポータブル計量機に補充したもので、発覚後、販売を停止して販売先を調査し当該軽油を回収。油種ごとにドラム缶の色を変更するなどの再発防止策を策定している。
不適合事例にはならないが、河川への灯油流出事例は、外壁に設置したホームタンクから屋内への小径配管にツタが絡まり、それに雪が積もって配管が損傷し灯油が流出したもので、発覚後、自治体や消防などに協力を要請し流出油を回収。鋼材による防護措置や在庫量徹底管理などの再発防止策を策定している。