エルピーガス振興センターは8月26日、北海道地方LPガス懇談会をWeb開催(写真)。消費者、事業者双方の団体代表に行政機関、有識者らも交え「LPガスの料金透明化・取引適正化」や「カーボンニュートラルの時代におけるLPガスの進むべき方向と課題等」をテーマに当面する課題などについて意見を交換。選ばれるLPガスのあるべき姿を探った。
資源エネルギー庁から事業受託したエルピーガス振興センターが全国9会場での開催を計画しているもので、本道での開催は北関東、南関東に続く3会場目。
懇談会では北海道経済産業局資源エネルギー環境部資源・燃料課の田口晴彦課長が、集合住宅での無償配管などの問題を指摘し、公正な競争環境を整えるルールづくりの必要性などとともに「今後とも選択されるエネルギーであり続けるために消費者とのさらなる信頼関係の構築が期待される」とあいさつし、そのあと北星学園大学の大島寿美子教授の司会で「LPガスの料金透明化・取引適正化」と「カーボンニュートラルの時代におけるLPガスの進むべき方向と課題等」をテーマとして懇談に入った。
料金透明化・取引適正化ではまず、資源エネルギー庁とエルピーガス振興センターが事前にプレゼンを実施し、集合住宅の生活設備の無償貸与という商習慣に問題があると指摘。無償配管は6割が実施しているが、その7割は料金転嫁していない事実を明らかにした。
これを受けて北海道生活協同組合連合会の川原敬伸専務理事補佐がアンケートや取り組みで浮上した問題点にも言及しながら、同一地域・同一事業者でも大きな価格差がある実態を示し、LPガス業界の「危機意識の弱さ」を指摘するととともに、業界、行政、消費者一体の取り組みの必要性を説いた。
北海消費者協会の武野伸二専務理事も道立消費生活センターへの相談事例を紹介し、契約締結が滞っていることや本道のLPガス料金が原油価格と連動せず高止まりしていることを指摘。LPガス料金の価格差についても、仮に同一地域で灯油の価格差が1・6倍にもなれば消費者には受け入れられないとし、料金に対する説明責任を果たしていないとしながら、選ばれ続けるためには消費者の理解と納得が不可欠だと訴えた。
これに対し事業者側である北海道LPガス協会の鉢呂喜一会長は、料金表の掲示やホームページへの掲載を97・5%が実施しているものの30社程度が残っているとし、今後も周知を徹底していきたいと回答。無償配管を実施している企業があるとの事実も示した。
一方、カーボンニュートラル(CN)の時代におけるLPガスの進むべき方向と課題等では、CNにより中小企業が淘汰される時代が来るとの報告書を事前提出した北海道LPガス協会の鉢呂会長が「先が見えず後継者が育つのかも心配」と不安を吐露。北海道消費者協会の武野専務理事もCNで事業者が減り、灯油やガスを届けてもらえないエネルギー難民が懸念されると指摘した。