BCP策定「まだまだ」
ソフト面の充実不可避
2022.11.30
 中核SSや小口燃料配送拠点に加え住民拠点SSなどの飛躍的な整備で道内石油業界の災害対応能力は一段と向上したが、そうした中で石油販売業者の事業継続計画(BCP)策定は意外にも立ち遅れているのが現状だ。ハード、ソフト両面の対策が重なって初めてエネルギー供給の「最後の砦」となり得ることを考えれば、早急な取り組みが求められる。

 BCPは、災害発生時に事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続や早期の復旧を可能とするために行うべき活動、手段などを事前に定めて文章化したもの。税制上の優遇や金融支援などが受けられ、事前対策としての認定制度がある事業継続力強化計画とは違って事後対策が中心となるが、緊急時に事業を継続できるよう準備しておくことは、燃料油の供給責任を負う販売業者として欠かせないものとなる。

 具体的には、限られた人員や資金を優先的に投入する「中核事業」を決めた上で、それを何日以内に再開すれば資金繰りが持ちこたえられるかなどを算出した「目標復旧時間」や、復旧阻害要因の除去方法、社内体制などを定めた「対策」などを盛り込んでいくことになるが、様式や分量などに制約は一切なく、策定は極めて容易だ。

 ただ、帝国データバンクが今年5月に行った調査によると、BCPを策定している道内企業はわずか17・7%。事業の中断が倒産や廃業につながりかねない中小・零細に限れば、策定率はそれより低いと考えられ、立ち遅れているのが現状だ。

 本道でも中核SSや小口燃料配送拠点に加え住民拠点SSなどの飛躍的な整備で、石油業界の災害対応能力は一段と向上しているが、BCPの策定は、その効果を増幅させるためにも不可欠。

 災害発生時におけるエネルギー供給の「最後の砦」となるためにも、自然災害だけでなくコロナ禍などもあって重要性が改めて問われる今、早急な取り組みが求められていると言えそうだ。


北海道のガソリン価格予想
7月29日(月)から8月4日(日)まで
変わらず
仕切りによっては値下げも

07月30日付掲載予定

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