エネルギー需要は利用機器の導入・更新状況を反映する
2023.6.20
需要を左右する利用機器の更新 


景気の変動は、生産・物流・販売活動に影響を及ぼしますので、産業用・業務用のエネルギー需要は景気によって左右されます。実質GDP成長率と産業用・業務用の燃料油、電力、都市ガスの需要との間には強い相関性が見られます。


 一方、家庭用などの民生用の需要に景気の変動はほとんど影響しません。民生用エネルギーの需要に影響を及ぼしているのは、空調や給湯の需要に影響する気温・水温の変動、エネルギー利用機器の導入・更新状況などです。

 個々の機器が消費するエネルギーの量は、天候影響を除くと同じ用途で同時に利用される機器が導入されたり、利用する人数や人員構成が変化したり、利用環境が変わったりしない限り、大きく変化することはありません。よって、天候の影響を調整し、平均耐用年数の期間に販売された利用機器の台数、同期間に更新された新・旧機器の平均燃費の差などを分析すると、民生用需要の趨勢的な変化をほぼ正確に予測することができます。

 ガソリンの国内需要と自動車の変化を例にとると、過去15年間(2007年度~2022年度)にガソリン需要は年率2・4%減、ガソリン自動車の登録台数は年率0・4%増、新車の販売台数は登録台数の7・0%でしたので、更新された新・旧自動車の平均燃費の差は30数%と計算されます。
 今後のガソリン需要は、登録台数の変化、廃車されて置き換わる車の影響を考慮すれば良いので、登録自動車台数横ばい、新車の構成比を乗用車7%、商用車5%、新車と廃車の燃費差を30数%と想定すると、年平均2~3%減と算定されます。
 ガソリンを消費しない電気自動車(BEV)や燃費が7~8割改善するプラグインハイブリッド車(PHEV)が大半を占めるような状況にならない限り、ガソリン需要が前年比で5%余り減るような状況にはならないのです。
 ところで、過去10年間(2013年度~2022年度)に販売された民生用石油機器の販売台数は3909万台で、10年前(2003年度~2012年度)の5686万台に比べて31%減少しています。

 灯油の国内需要が過去10年間に35%程度減少している理由は、機器の平均耐用年数(10年程度と推定)、利用台数の変化、給湯機器などの燃費の改善によると考えることができます。

 ちなみに、同期間にガス機器は9190万台から7848万台へ15%減少し、電気温水器(エコキュートを含む)は8年前(2005年度~2014年度)の562万台から596万台へ6%増加していました。


 これは、石油の需要を確保するためには、石油利用機器を直実に更新していくことが重要になることを意味します。


エネルギーの需要は価格には左右されにくい


 エネルギー価格の変動は需要を大きく左右することはありません。エネルギーは、経済活動や暮らしの基盤をなす必需品だからです。

 石油製品やLPガスは、需要家が、利用機器に備えられたタンクなどにストックする残量を調整することができますので、価格が急変した場合や、事前に価格の変動が予測される際には、節約・価格低下前の買い控え・上昇前の買いだめなどによって、短期的に販売量が増減することがあります。ただし価格変動による影響は1~2カ月程度で平準化されるケースがほとんどです。

 電力や都市ガスは、大容量の蓄電設備やタンクを備えていない限り、需要家側で大量にストックすることができませんので、価格の変動による需要への影響は節約による効果程度しか生じません。

 2020年以降、新型コロナウイルス、ロシアのウクライナへの軍事侵攻、内外金融情勢の変化などを反映し、エネルギー資源価格や為替レートが大きく変動したことで、エネルギーの価格が激変しましたが、需要に大きな影響が及んでいないのはこのためです。


北海道のガソリン価格予想
4月29日(月)から5月5日(日)まで
価格下降
仕切り価格値下げのため

04月30日付掲載予定

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