改めて問われるBCP
早急な策定 今や不可避
2024.3.10
 災害時におけるエネルギー供給の「最後の砦」とされるSS。今年早々、厳寒期に発生した能登半島地震でも、暖を確保する燃料油の供給に全力を尽くすSSの姿が報じられたが、そうした中で今、事業継続計画(BCP)策定の重要性が改めて問われている。本道では近年、都市機能を奪うような大雪なども頻発しており、盤石な体制づくりが不可避な状況だ。

 BCPは、大規模地震など様々な災害の発生時に、事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続や早期の復旧を可能とするために行うべき活動、手段などを定め文章化したもの。税制上の優遇や金融支援などが受けられ、事前対策としての認定制度がある事業継続力強化計画とは違って事後対策が中心となるが、有事の際にも事業を継続できるよう準備をしておくことは、道民に対する燃料油供給の使命を背負う石油販売業者にとっても欠かせないものとなる。

 具体的には、限られた人員や資金を優先的に投入する「中核事業」を決めた上で、それを何日以内に再開すれば資金繰りが持ちこたえられるかなどを算出した「目標復旧時間」や復旧阻害要素などを定めた「対策」などを盛り込んでいくことになるが、様式や分量などの制約は一切なく、策定は極めて容易。中小企業庁や北海道経済産業局など様々な機関、団体、企業が策定に向けた支援を行ってもいる。

 帝国データバンクの調査によると、昨年5月段階ながら道内企業の策定率は20%にとどかず、しかも事業の中断がそのまま倒産や廃業につながりかねない中小・零細企業の策定率は大企業の半分程度。全国的にも立ち遅れているのが現状だ。

 本道では、非常用発電機を備えた住民拠点SSなどの整備が全国を大きく上回って進むなど、業界の災害対応能力は格段に向上しているが、BCPの策定は、それらハードを遺漏なく動かすための司令塔ともなるもの。

 都市機能を奪う大雪なども頻発する中で、早急な取り組みが求められていると言えそうだ。


北海道のガソリン価格予想
5月13日(月)から5月19日(日)まで
価格上昇
一部に値戻しの動き

05月20日付掲載予定

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