
資源エネルギー庁は、2024年度から2028年度までの「石油製品需要見通し」をまとめ、このほど石油製品需要想定検討会に提示した。それによると電力用C重油を除く燃料油の国内総需要(表参照)は23年度比で年平均1・6%減少し、28年度には7・6%減の1億3175万3千klとなる見通し。油種別でもすべて減少する見通しで、ガソリンは年平均2・6%、28年度には12・2%減の3906万5千klになるとしている。
需要見通しは、石油備蓄法で定める今後5年間の備蓄目標策定のベースとなるもので、試算の経済前提として内閣府が発表した「令和6年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」や「中長期の経済財政に関する試算」のベースラインケースを採用。
さらにシンクタンクの経済見通しも加味したほか、新型コロナウイルス感染症やカーボンニュートラルに向けた動きの影響も考慮しているが、燃料油価格激変緩和措置による影響は考慮していない。また、電力用C重油の需要見通しについては、一部電源の供給が見通せないことから策定していない。
■ 燃料油全体
ガソリンなど7油種合わせ24年度には前年度比0・2%減の1億4230万2千klとなり、23~28年度を総じてみれば23年度比(以下同)で年平均1・6%、全体で7・6%減少し、28年度には1億3175万3千klとなる見通し。
■ ガソリン
ガソリンは、自動車保有台数に基づく「総走行距離÷平均燃費」をもとに想定。24年度は新型コロナウイルス感染症の5類移行や猛暑による燃費の悪化で前年度の需要が高めに推移したことの反動、また、ガソリン車の減少や燃費の改善といった構造的要因もあって前年度比3・1%減の4311万6千klとなる。
総じてみれば、ハイブリッド車など次世代自動車の増加や燃費の良い車への乗り換えによる燃費の着実な改善などによって年平均2・6%、全体で12・2%減少し、28年度には4000万klを割り込んで3906万5千klとなる見通し。
■ 灯 油
灯油は、過去5年の気温移動平均に経済動向や燃料転換を加味した「産業用需要」と、電化、ガス化を加味した「民生用需要」をもとに想定。24年度は気温が平年並みに推移し、鉱工業生産が回復することから前年度比4・8%増の1220万6千klとなる。
総じてみれば、生産活動は緩やかな回復が見込まれるものの、家庭用を中心とした暖房・給湯エネルギー源の転換や効率改善に加え気温も緩やかに上昇することが見込まれ、年平均2・0%、全体で9・8%減少し、28年度には1050万6千klとなる見通し。
■ 軽 油
軽油は、経済動向やトラックなどの保有台数をもとに想定。24年度はトラック輸送の効率化、トラックの燃費改善、貨物輸送量の減少から前年度比0・9%減の3099万1千klとなる。
総じてみれば、堅調な経済成長に下支えされるものの、経済のサービス化・高付加価値化に伴い貨物輸送量が減少傾向で推移し、トラック燃費の着実な改善などもあって年平均0・8%、全体で3・7%減少し、28年度には3010万7千klとなる見通し。
■ A 重 油
A重油は、主要業種の経済動向や消費原単位などをもとに想定。24年度は鉱工業で燃料転換が進行し、農・漁業でも就労人口の減少などを背景に作付・耕地面積、出漁機会が減少することから前年度比2・0%減の961万3千klとなる。
総じてみれば、鉱工業での燃料転換の進展や農林水産業での就業人口の減少に伴う生産活動の低下などから年平均3・5%、全体で16・3%減少し、28年度には820万5千klとなる見通し。
■ B・C重油
電力用C重油を除く一般用B・C重油は、A重油と同様の想定。24年度は鉱工業での燃料転換とともに、水運でもC重油からA重油への緩やかな燃料転換が継続することで前年度比3・6%減の437万8千klとなる。
総じてみれば、鉱工業における燃料転換の進展や水運における内航貨物輸送量・船舶数の減少から年平均4・2%、全体で19・1%減少し、28年度は367万1千klとなる見通し。
■ ナフサ・J燃料
ナフサは、24年度に23年度比3・5%増の3763万1千kl、28年度には1・4%減の3586万9千kl、ジェット燃料油は、24年度に0・5%減の436万7千kl、28年度には1・4%減の433万klとなる見通し。