危険物施設事故 増加
昨年は全国で711件にも
2024.6.10
 危険物施設が年々減少する中でも危険物施設事故の発生は高止まりし、関係者の危機感は強まるばかりだが、昨年も火災と流出とを合わせた事故は全国で711件に上っていたことが消防庁のまとめで明らかになった。前年を70件上回るなど調査が始まった平成元年度以降で最も多く、無許可施設など危険物施設以外での事故も含めれば730件となる。

 危険物施設における事故件数は平成6年の287件(火災113件、流出174件)から増加に転じ、平成19年以降は高い水準での「横ばい」状態が続いているが、昨年1月から12月までに全国で発生した危険物施設事故は、火災と流出とを合わせて711件。

 調査を開始した平成元年度以降で最も多かった令和3年の646件を65件上回り、また、危険物施設が前年より3718カ所減って38万2640カ所となる中、危険物施設1万カ所当たりの事故発生件数も前年を1・97ポイント上回る18・56に跳ね上がって過去最高を更新した。

 このほかにも無許可施設で7件、危険物運搬中に12件の事故が発生しており、それらも合わせると、危険物に係る事故は前年を70件上回る730件となる。


■ 火災事故

 危険物施設で発生した火災事故は、死者が発生するなどの重大事故10件を含む243件で、前年を17件上回り過去最高となった。

 これら事故による死者は前年より1人減って1人、負傷者も7人減って29人となったが、損害額は50億円余り上回って78億267万円。施設別では一般取扱所での発生が141件で最も多く、これに製造所での50件、給油取扱所での39件などが続いている。

 出火原因物質は、4割を超す110件が第4類の危険物で、内訳はガソリンなどの第1石油類が59件、重油などの第3石油類が19件、潤滑油などの第4石油類が17件、軽油や灯油などの第2石油類が8件など。

 また、発生原因は半数を大きく超す142件が維持管理や操作確認不十分などの人的要因、75件が腐食疲労等劣化などの物的要因、26件が不明や調査中を含むその他の要因となっており、着火原因は静電気火花が51件で最も多く、次いで高温表面熱が35件、電気火花が24件、加熱着火が21件などだった。

 なお、このほか無許可施設で4件、危険物運搬中に1件の事故が発生しており、これも含めると危険物に係る火災事故は248件となる。


■ 流出事故

 危険物施設で発生した流出事故は、重大事故12件を含む468件で、前年を53件上回り、3年連続で400件を超え高止まりしている。

 これら事故による死者はなく、負傷者も前年より7人減って11人となったが、損害額は3億円余り上回って8億8539万円。施設別では一般取扱所での発生が106件で最も多く、これに屋外タンク貯蔵所での103件、製造所での73件、給油取扱所での70件、移動タンク貯蔵所での51件が続いており、例年と同様の状況となっている。

 流出した危険物は、98%強の462件が第4類の危険物で、内訳は第2石油類が169件、第3石油類が156件、第1石油類が97件など。

 また、発生原因は火災事故とは逆に、物的要因270件が人的要因167件を大きく上回っており、物的要因では腐食疲労等劣化が168件、人的要因では操作確認不十分が66件で最多。その他の要因は31件だった。

 なお、このほか無許可施設で3件、危険物運搬中に11件の事故が発生しており、これも含めると危険物に係る流出事故は482件となる。



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9月30日(月)から10月6日(日)まで
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10月05日付掲載予定

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