
気温の上昇とともに人々の装いにも軽快さが増しつつある中で、石油業界にとっても書き入れ時となる夏商戦がいよいよ本番を迎える。感染症法上の5類移行でコロナ禍の影響が薄れ、油販、油外増販に向けた各SSの意欲は旺盛とも伝わるが、深刻の度をさらに増す人手不足や燃料油価格の高止まりに伴う節約志向の広がりなど懸念は依然として多く、「追い風」は極めて弱いと見るべきか。まずはマージンをしっかりと確保する取り組みが求められる。
油販に限ればここしばらく、量販店の安値掲示に引きずられるかたちで値崩れ、値戻しを繰り返しており、10円に届かない低マージンで灯油による蓄えを食いつぶすという夏商戦を甘受してきたかつての業界を彷彿とさせるが、各SSにそれほどの暗さはない。
まずはコロナ禍の影響で落ち込んだ需要の回復に向け、マージンの一部を削りつつ「量」の拡大に向けた取り組みを進めながらも、その先を見据えた取り組みも決して忘れていない現状は、夏商戦にとってかけがえのない好材料となる。
一方で油外も、ほぼ一手に担う洗車やコーティング、専業店との棲み分けで独自の分野を切り開いたレンタカー、手軽さが大きな魅力の鈑金などが好調を維持。さらには
収益性が高いとされる車販・買取の取り扱いが全道的に広がりつつあることや、車検に対するSSへの評価が高まりつつあることも心強い。
とは言え、脱炭素化などを背景とする燃料油需要の減退といった構造的な課題に加え、深刻の度をさらに増す人手不足や物価高による消費意欲の低下、燃料油価格の高止まりに伴う節約志向の広がりなど懸念は依然として多く、それらが強い逆風となって「追い風」は極めて弱いと言わざるを得ない状況だ。
そうしたことからも油販、油外を問わず、取るべきマージンはしっかり取るといった当たり前を当たり前にしていくことが必要。不毛な価格競争などしている場合でないことを肝に銘じていかなければならない。
北海道のガソリン価格予想
11月3日(月)から11月9日(日)まで
価格上昇
値戻しへの意欲旺盛
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11月10日付掲載予定
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