人手不足 一層深刻に
安定供給への支障懸念
2024.7.30

工夫を凝らした看板も見られるが
 コロナ禍の影が薄くなって油販、油外の挽回を期す道内各SSだが、今、地域の別なく人手不足が深刻の度をさらに深めている。ある販売業者は「政府が打ち出したガソリン車の販売禁止方針が致命的な要因」と分析して見せるが、最大の使命である安定供給への支障すら懸念される事態に危機感は募るばかり。「藁にもすがる思い」でほぞを噛む。


 以前は都市部を中心に語られてきた人手不足だが、今や地域の別なく深刻の度を深める。ハローワークや求人誌などで募集をかけても、応募はほぼ皆無。SS店頭に募集看板を掲示しても「問い合わせすらない」のが大方の状況で、近頃では看板を見かけること自体が以前と比べ、はるかに少なくなりつつある。

 この数カ月でスタッフら2人が辞め、その補充が未だ付かないままだという道北圏のある販売業者は「政府が打ち出したガソリン車の販売禁止方針が致命的な要因」と分析して見せるが、何にも代えがたい使命としてきた安定供給への支障が懸念される中で、危機感は募るばかりだ。

 そうした状況は札幌や旭川、函館などの都市部でも変わらず、拡販に向けたイベントやキャンペーンの実施を断念もしくは制限しなければならない状態に追い込まれたり、2人でSSを回さなければならず、食事のみならずトイレにすら行けないというケースも出てきている。

 親会社である建設会社のトラック運転手6人に危険物取扱資格を取得させ、日程を調整しながら手伝ってもらうことで急場をしのぐ販売業者もあるが、ほとんどは有効な打開策を持たないのが実情。AIやキャッシュレスの導入なども一助になるが、災害が発生した場合などには「やはり人の力が必要」で、最低限の人員確保は欠かせない要件となる。

 今、スキマバイトアプリに登録し、穴埋め的に人材の補給をする販売業者も増えつつあるが、これが画期的な打開策となるかは未知数。伝手の拡充のほかに販売業者間での「融通」なども必要になってくるのか。


北海道のガソリン価格予想
5月5日(月)から5月11日(日)まで
価格下降
仕切り価格下落か

05月10日付掲載予定

■2029年度 1億2220万klに 石油製品需要見通し
■期待失せ盛り上がり欠く 価格高騰が追い打ち GW商戦
■自給率15.3%に上昇 2023年度エネルギー需給実績
■市町村・特別区で97%に 地方公共団体の非常用電源設置
■好調車検「まだまだ取る」 道エネ東白石SS