補助終了に強い危機感
価格上昇 暮らしを直撃
2024.11.25

消費者、供給者の代表らが灯油情勢をめぐり意見交換
 本格的な冬の到来を迎え北海道経済産業局、北海道は14日、札幌第1合同庁舎に消費者、供給者双方の代表らを集め令和6年度北海道地域灯油意見交換会を開催。今冬の灯油をめぐる情勢を共有するとともに、燃料油価格激変緩和措置、安定供給への対応など7項目を俎上に載せて意見を交わした。消費者側からは今年12月末とされている燃料油価格激変緩和措置終了後の価格高騰への不安が相次ぐとともに、安定供給を求める声も相次いだ。


 本年度の意見交換会には、消費者団体をはじめ行政機関、関係機関・団体などからオンライン参加を含め21人が参加。供給者側となる業界からはENEOS北海道支店の浜田国揮支店長、出光興産北海道支店の吉野晃崇支店長、北海道石油業協同組合連合会の河辺善一会長、北海道燃料団体連合会の沼田常好会長、エネコープの五十里浩輔社長が顔をそろえた。

 冒頭、主催者を代表して道経産局資源エネルギー環境部の豊島厚二部長が、灯油価格高止まりの要因にも言を進めてあいさつしたのに続き、資源エネルギー庁資源・燃料部燃料流通政策室の日置純子室長が「最近の燃料流通関連施策の動向」をテーマに基調報告。さらに石油連盟流通業務部の伊久美良太副部長が灯油需要、石油情報センターの佐々木忠則所長が灯油価格について、それぞれ概況を説明した。

 日置室長は、10月7日の衆院本会議代表質問における石破茂首相の答弁などに触れながら、政府が策定を進める総合経済対策では、全国一律の支援から物価高の影響を特に受ける低所得世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応をするための重点支援地方交付金といったものに視点を移した施策が講じられることを紹介。

 また、能登半島地震での燃料供給やSS過疎地対策などにも言を進めた上で「カーボンニュートラルへの移行を目指す中でも石油製品の安定供給体制を確保することは極めて重要」だとし、今後の施策の方向性としてSSの経営多角化、事業承継やM&A、グループ化などを通じた経営力の強化に向けた後押しをしていく、とした。

 昨年度の全国、本道の灯油需要や需要減に拍車をかけるエアコンの販売推移にも触れた伊久美副部長は、10月26日現在の灯油在庫が263万kl、50日分と十分な水準にあることを説明しながら今冬の供給について、寒波などで需要が急増しても元売各社には生産余力があり、輸入による対応も可能なことから「安定供給に支障をきたす恐れはない」ことを強調。 佐々木所長は今後の原油価格の見通しについて、中国経済の停滞やOPECプラスの減産緩和で需給緩和観測が強く「値下がりと見る向きが多い」としながらも、中東情勢の波及もあり、不透明だともした。

 このあと消費者団体から事前に出されていた質問をもとに、①今冬灯油価格②燃料油価格激変緩和措置と終了後の対応③福祉灯油④安定供給への対応⑤災害等への対応⑥環境への影響に配慮した取り組み⑦エネルギー価格高騰対策─の7項目を俎上に載せて意見交換。

 このうち燃料油価格激変緩和措置と終了後の対応については、日置室長が「年末でいきなりなくなることにはならないと思う」としながらも、早期の、段階的な終了を目指すことになるとし、その後は重点支援地方交付金などで対応していくことになるとした。

 また、安定供給への対応については、浜田支店長が「内航船の確保が課題」としながら、その解消に努めていることや在庫の積み増しを行っていることなど、吉野支店長が運賃体系の見直しなどでローリーを確保するとともに、出荷基地ごとの配送量を見直すことで効率的な輸送に努めていることなどを紹介。

 河辺会長は、運転要員に加えてローリーそのものの不足に悩まされながらも、スマートセンサーの設置で配送の効率化を図っているなどとし、五十里社長も「過去のデータを統計的に処理して配送計画に反映させる研究をしている」などとして理解を求めた。

 災害等への対応については、資源エネルギー庁資源・燃料部燃料流通政策室の太田克良室長補佐が、自治体と販売業者との「平時からの顔の見える関係づくり」の必要性を訴えるとともに、河辺会長が「石油業界は発災時の復旧が一番早く、訓練でノウハウも十分に積み上げている」ことを強調。環境への配慮については浜田、吉野両支店長がカーボンニュートラルに向けた自社の取り組みを紹介するとともに、合成燃料を含めた次世代燃料の開発や市場展開を進めている、とした。

安定供給への対応についての質問に応える手前左から浜田支店長や吉野支店長ら

業界の優れた災害対応力をアピールする河辺会長


北海道のガソリン価格予想
7月28日(月)から8月3日(日)まで
価格上昇
上昇のあと、徐々に下げ方向で

08月05日付掲載予定

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