全国に先駆けて札幌市中央消防署などが昨年9月に行った立入検査
昨年11月を中心に消防庁が全国で実施した立入検査で、道内の移動タンク貯蔵所や危険物運搬車両の17・10%に基準不適合や義務違反があったことがこのほど分かった。対象となった2930台のうち501台から延べ703件の基準不適合等が見つかったもので、1台当たりの不適合等項目数は前年度をやや下回ったものの、車両数による不適合率は4・34ポイントの大幅増。依然として配管や弁など設備等の基準維持義務違反が6割を大きく超えている。
立入検査は、全国の消防699機関が昨年11月を中心に、道路上や常置場所、危険物の荷卸し場所など5941カ所で実施したもの。移動タンク貯蔵所については定期点検の実施や点検記録等の備え付け、電気設備や接地導線の不良等といったものなどのほか、常置場所や注入ノズルの変更が増えていることから構造・設備等の変更も、また、危険物運搬車両については、転倒・落下防止装置をはじめとする積載方法や危険物に適応する消火設備の設置などを調べた。
その結果、対象車両2万1858台のうち3124台から延べ4233件の基準不適合等が見つかった。車両数による不適合率は14・29%で、過去10年で最も低くなった前年度を0・78ポイント上回ったものの、1台当たりの不適合等項目数は1・35となって前年度を0・05下回った。
内訳は、移動タンク貯蔵所2万1424台のうち3090台から延べ4184件、危険物運搬車両434台のうち34台から延べ49件。
移動タンク貯蔵所では電気設備・接地導線の不良等486件を含む設備等の基準維持義務違反が2345件と前年度を上回って半数を超え、それに漏れの点検未実施327件を含めた定期点検にかかる義務違反が844件で続く。また、無許可車両が49台あり、そのうち30台は注入ノズルの手動開閉装置を開放の状態で固定できるよう改造するなどしたものだった。
他方、危険物運搬車両では、消火器の未設置など運搬方法基準不適合が7割近い33件だった。
これらのうち道内の移動タンク貯蔵所や危険物運搬車両については、対象車両2930台のうち501台から延べ703件の基準不適合等が見つかった。不適合率は車両数で17・10%と前年度を4・34ポイント上回ったが、1台当たりの不適合等項目数は1・40と前年度を0・03下回った。
それらすべて移動タンク貯蔵所でのもの。設備等の基準維持義務違反が前年度を6・15ポイント上回って69・13%を占める486件で最多。電気設備・接地導線の不良等が78件、附属装置に係る基準不適合が71件、消火器の未設置等が56件などで、そのほか漏れの点検未実施31件を含む定期点検にかかる義務違反が110件などだった。