
資源エネルギー庁はこのほど、2025年度から2029年度までの「石油製品需要見通し」をまとめ石油製品需要想定検討会に提示した。それによると電力用C重油を除く燃料油の国内総需要(表参照)は24年度から年平均2・2%減少し、29年度には24年度比10・5%減の1億2220万2千klとなる見通し。7油種いずれも減少し、ガソリンは年平均2・4%減、29年度には24年度比11・4%減の3859万1千klになるとしている。
需要見通しは、石油備蓄法で定める今後5年間の備蓄目標策定のベースとなるもので、試算の経済前提として内閣府が発表した「令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」や「中長期の経済財政に関する試算」における過去投影ケースを採用。
さらに各シンクタンクの経済見通しも加味したほか、カーボンニュートラルに向けた動きについては、各分野で脱炭素化の動きが進むことによる影響を油種ごとに考慮したが、電力用C重油の需要見通しについては、一部電源の供給が見通せないことから策定していない。
■ 燃料油全体
ガソリンなど7油種合わせて25年度に前年度比1・5%減の1億3443万3千klとなり、24年度から29年度までを総じてみれば、年平均2・2%、全体で10・5%減少し、29年度には1億2220万2千klとなる見通し。
■ ガソリン
ガソリンは、自動車保有台数に基づく「総走行距離÷平均燃費」をもとに想定。25年度は猛暑による燃費悪化で前年度上期の需要が高めに推移したことの反動、また、ガソリン乗用車保有台数の減少や燃費改善といった構造的要因とも合わさり前年度比2・6%減の4240万4千klとなる。
総じてみれば、ハイブリッド車など次世代自動車の増加や燃費の良い車への乗り換えによる乗用車燃費の着実な改善などで年平均2・4%、全体で11・4%減少し、29年度には4000万klを大きく割り込む3859万1千klとなる見通し。
■ 灯 油
灯油は、過去5年の気温移動平均に経済動向や燃料転換を加味した「産業用需要」と、電化、ガス化を加味した「民生用需要」をもとに想定。25年度は気温が平年並みに推移し、また、鉱工業生産が回復することで前年度比0・4%増の1091万klとなる。
総じてみれば、生産活動は緩やかな回復が見込まれるものの、家庭用を中心とした暖房・給湯エネルギー源転換の継続に加え、気温も緩やかな上昇傾向をたどるることが見込まれ、年平均2・9%、全体で13・7%減少し、29年度には937万9千klとなる見通し。
■ 軽 油
軽油は、経済動向やトラックなどの保有台数をもとに想定。25年度はトラック輸送の効率化、トラックの燃費改善、貨物輸送量の減少から前年度比1・2%減の3035万3千klとなる。
総じてみれば、堅調な経済成長に下支えされるものの、経済のサービス化・高付加価値化に伴い貨物輸送量が減少傾向で推移し、また、トラック輸送の効率化や燃費の改善もあって年平均1・0%、全体で5・0%減少し、29年度には3000万klを大きく割り込む2916万7千klとなる見通し。
■ A 重 油
A重油は、主要業種の経済動向や消費原単位などをもとに想定。25年度は鉱工業で燃料転換が進行し、農・漁業でも就労人口の減少などを背景として作付・耕地面積、出漁機会が減少することから前年度比3・5%減の933万1千klとなる。
総じてみれば、鉱工業での燃料転換の進展や農林水産業での就業人口の減少に伴う生産活動の低下などから年平均3・9%、全体で17・8%減少し、29年度には794万8千klとなる見通し。
■ B・C重油
電力用C重油を除く一般用B・C重油は、A重油と同様の想定。25年度は鉱工業での燃料転換とともに、水運でもC重油からA重油への緩やかな燃料転換が継続することで前年度比1・9%減の316万4千klとなる。
総じてみれば、鉱工業における燃料転換の進展や水運における内航貨物輸送量・船舶数の減少から年平均3・1%、全体で14・8%減少し、29年度には274万8千klとなる見通し。
■ ナフサ・J燃料
ナフサは、25年度に前年度比0・8%減の3395万4千kl、29年度に12・2%減の3004万7千kl、ジェット燃料油は、25年度に0・8%増の431万7千kl、29年度に0・9%増の432万2千klとなる見通し。