需要期を前に札幌中央消防署などが灯油ローリーの一斉点検を実施した
まだまだ暖かな日が続く本道だが、暦の上ではあす10月1日から灯油の本格需要期。道内石油販売業者にとっての「命綱」と言われながら、今冬も燃転に伴う需要の減少や価格の高止まり、人手不足など超すべきハードルは高い。配送ローリーの点検など準備はすでに進んでいるようだが、さらに量・質ともに「売り負け」のない盤石な態勢の構築が求められる。
札幌管区気象台の「向こう3カ月の天候の見通し」によると、需要期入りの10~12月の気温は平年並みか高い見込み。ここ数年と同様、ロードヒーティングの稼働で需要を一気に押し上げる降雪も遅れそうな気配だ。
また、気温などとともに需要を大きく左右する価格は、プライスリーダーのコープさっぽろが掲げる124~127円かそれをやや下回る「入り」になりそうで、今冬灯油商戦にとっても気温と価格が相変わらず厳しい「逆風」となっていくことが予想される。
また、国の灯油に対する5円の定額引き下げ措置終了が明言されておらず、よもや10、11月での終了はないだろうが、気になる一面ではある。
これらに加えローリードライバーの時間外労働の規制定着が、配送面にどのような影響を及ぼしてくるかの見極めがまだつかず、IoT技術を活用したシステムの導入などで効率化が図られてはいるものの不安材料。金額・数量指定に伴う配送の煩雑化や料金回収の遅れなど、価格高騰期特有の問題もまたぞろ出てきそうだ。
ただ、灯油が道内石油販売業者にとってかけがえのない「命綱」であることはいささかも変わらず、そればかりか次世代自動車の普及や節約意識の広がりなどで自燃油の減販が顕著になってきている今、その重みは以前と比べようもなくなってきている。
「量」の拡大がそれほどに望めない中では、あくまで適正ながら分厚いマージンを確保し「質」で勝負していく覚悟が不可欠。安易な価格競争でそれを削るようなことなど絶対にしてはならない。
問題、課題ばかりが目につくが、来年の春に笑顔で健闘をたたえ合う姿を見たいものだ。