会社を守る「BCP」
求められる災害への備え
2017.7.25
 地震や豪雨など全国各地で従来の予想を超える規模の自然災害が発生し、また、首都直下型地震など大規模地震の発生が高い確率で予想される中、事業継続計画(BCP)が、災害から会社を守る「術」として全国的に注目されつつある。災害発生時の「対策」などをあらかじめ文章化し、事前の備えとしておくものだが、道内企業の策定、運用は全国に比べ立ち遅れているのが現状。危機管理の一分野として早急な取り組みが求められていると言えそうだ。

 BCPとは、自然災害など緊急事態に遭遇した際、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、あらかじめ行うべき活動や事業継続のための計画を定め文章化したもの。

 昨年8月、観測史上初めて4つの台風が本道に上陸・接近し、道東、道北を中心に甚大な被害をもたらしたのは記憶に新しいが、今も全国各地で従来の予想を超える規模の自然災害が発生。さらには今後30年以内に南海トラフ地震や首都直下型地震が70%の確率で、本道に最も震源が近い日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震も30、40%の確率で発生するとされている中、BCPの策定・運用が従来にも増して必要となっているのは自明だ。

 とりわけ中小・小規模事業者は、災害に起因する事業の中断が廃業や倒産につながる可能性が高いことから「不可欠」とされるが、危機感が比較的薄いと言われる本道でのBCP策定率は11%程度と、全国を大きく下回る状況。早急な対応が求められてもいる。

 BCPは、災害発生時に限られた人員や資金を優先的に投入する「中核事業」のほか、それをどのくらいで復旧すれば資金繰りが持ちこたえられるかなどを考慮した「目標復旧時間」や、復旧阻害要因の除去方策、社内体制、定期訓練などを定めた「対策」などで構成されるが、中小・小規模事業者でも策定は極めて容易。様式や分量に制限は一切ない。

 北海道経済産業局では昨年10月に「BCP策定率向上のためのアクションプラン」を策定。BCP策定率40%を当面の目標とし、セミナーやワークショップの開催、ポータルサイト「中小企業のためのBCP」での情報提供などを行っている。

 また、中小企業庁ではBCPの策定、運用に必要な事項を、事例も交えて分かりやすく解説した支援ツール「中小企業BCP策定運用指針」を作成、公表しており、補助制度などとともに活用を呼びかけている。

 BCP策定は、各石協が自治体などと締結している災害時協定の実効性を担保する上でも有効な取り組みとなるはず。


北海道のガソリン価格予想
5月13日(月)から5月19日(日)まで
価格上昇
一部に値戻しの動き

05月20日付ヘッドライン

■経営安定化へ総意結集 北石連・商が通常総会・総代会
■商取引阻害要因を排除 函館石協が通常総会
■常に「丁寧なアテンド」 平和石油セルフ美原
■脱炭素の推進など盛る 道の予算要望
■元売大手3社が2023年度決算