シミュレーション訓練などを進めた旭川の研修会
国の補助事業「災害時対応研修」が本道でも13日の旭川を皮切りに始まり、16日の函館では同様の研修と併せて「災害時対応実地訓練」も行われた。地震や豪雨など自然災害が頻発する昨今、スタッフ自らも被災者となり、想像を絶する困難に直面すること必至の発災時の燃料油供給。改めて見直されている「最後の砦」としてのSSの役割を果たすべく、過去の災害から教訓を学び、シミュレーション訓練を通じて対応力の強化に努めた。
この研修は、国の「石油製品販売業環境保全対策事業費補助金(災害時に備えた地域におけるエネルギー供給拠点の整備事業のうち緊急時石油製品供給安定化対策事業に係るもの)」の交付を受けて、資源エネルギー庁から実施委託を受けた全石連が全国各地で開催しているもので、本道でも札幌など6会場での開催を予定。皮切りとなった13日には旭川市内のホテルで、16日には函館市内のホテルで開催した。
旭川ではジャパンリスクソリューションの篠崎曉コンサルタント、函館ではSOMPOリスクケアマネジメントの古田隆士上級コンサルタントが講師を務め、両会場ともに研修前半を講義、後半を店頭混乱回避シミュレーション訓練に充て、対応策の確実な定着を目指した。
講義で両講師は、発電機を1階に平置きしていたために水没させてしまったことや、操作訓練をしていたことで夜中に発生した災害に当たっても発電機を作動させられたことなど、昨年の台風10号による岩手県の水害や熊本地震での対応例などをもとに説明。
また、災害発生時のエネルギーの最後の砦としての役割を果たすことの重要性を説いたほか、平時から自治体が作成するハザードマップなどで避難経路や避難先を確認しておくこと、場合によってはスタッフの人命を第一に考え、空振りを恐れず避難することも重要だとした。
シミュレーション訓練では、中核SS(災害時対応SS)で災害発生直後から停電が続き、安全確認の結果、可搬式発電機で給油を再開できるものの、元売から補給の目途は立っていないなどの想定で、営業再開後に防火塀の一部が倒れた、隣接する建物で火災が発生したなど様々な不測の事態への対応策をグループごとに検討し「正解のない答え」を導き出した。
また、函館では研修終了後、前側石油豊川SSで、ノンスペSSでは道内初となる災害時対応実地訓練も実施した。
ジャパンリスクソリューションの佐藤哲治主席コンサルタントが講師を務めた訓練は、店頭混乱回避シミュレーション訓練と同じ想定で進み、フィールドなどの被災状況を確認して営業再開が可能だと判断した上で、店長が給油方針やレーンの割り当てなどをスタッフに指示。
そのあと緊急用発電機に電源を切り替え、災害本部から要請のあったパトカーや消防車などへの給油を行った。