
危険物施設数が年々減少しているにもかかわらず、危険物施設事故はほぼ横ばいで推移しており、なかなか減らない事故が関係者の危機感をあおっている。消防庁がこのほどまとめた昨年1年間の事故発生状況でも、前年と比べ火災事故が減少する一方、流出事故、その他事故が増加し、総数で7件上回る状況。こうした事故は、ちょっとした「留意」で防げるものも多く、改めて事故根絶に向けた総意の結集が求められていると言えそうだ。
消防庁のまとめによると、昨年1月から12月までに発生した危険物施設事故は、火災事故が前年より20件減って195件となったが、流出事故が13件増えて369件、その他事故(火災や流出を伴わない危険物施設の破損等)が14件増えて193件となっており、総数では7件の増。
危険物施設数が41万6234カ所から41万651カ所へと、5500カ所以上も減少している中での事故増加で、そこには絶対数の比較だけで済まされない危機的状況が内在する。
ちなみに、その他事故を含まない火災事故と流出事故だけの発生件数になるが、ここ30年で最も少なかったのは平成6年の287件。この時の危険物施設数が56万790カ所だったことから、昨年と比較すれば「危険物施設数が4分の3程度にまで減少しているのに対し、事故発生件数はほぼ2倍となっている」ということになる。
こうした状況は本道でも同じ。ここ10年に限れば、50、60件台で推移してきた事故が平成25年には39件まで急減。ところが翌26年に75件へと跳ね上がり、27年には59件に減少したものの、28年、29年はともに最多となる85件。危険物施設数はもちろん減少傾向にある。
これら事故の発生原因は、火災事故の48%強が操作確認不十分など人的要因、流出事故の55%が腐食疲労劣化等といった物的要因とされるが、事故事例からすると、ちょっとした「留意」で防げるものが少なくないのも実情。
事故がひとたび起きると、危険物であるがゆえに死傷者が出たり、河川や海などに危険物が大量に流出したりする「重大事故」となる可能性が極めて高く、社会への影響も大きい。
そうしたことからも改めて今、事故根絶に向けた総意の結集が求められていると言えそうだ。