給油を開始したSSにはどこにも長い車列が伸びた
6日未明に発生した北海道胆振東部地震は、厚真町で道内初の震度7を記録し、土砂崩れや住宅倒壊などが多くの人命を奪う一方、過去最大となる全道域295万世帯の停電が、道民から都市機能、生活機能のほとんどを奪い去った。そうした中で非常用発電機を備えた中核SSや小口燃料配送拠点、住民拠点SSなどが、自燃油を中心とした燃料油の供給に奮闘。改めて石油がエネルギー供給の「最後の砦」であることを多くの人達に知らしめた。
今回の地震では、出光興産北海道製油所で精製設備の一部損傷が見つかったものの、油槽所に設備被害はなく、SSでも震源地近くで防火塀の倒壊があった程度。燃料油の安定供給に向けて「大敵」となったのは、施設設備面などではなく、全道域に及んだ過去最大の停電だった。
事実、1800カ所余りある道内SSの約8割は、なす術なく休業を余儀なくされた。ただ、そうした中でも敢然と立ち上がったのが非常用発電機を備える中核SSや小口燃料配送拠点、住民拠点SSなど。資源エネルギー庁によると、地震発生10時間後の6日午後1時現在で、すでに約110カ所が給油車両を受け入れていたという。
札幌市豊平区のJXTG系SSは、スタッフを増員し、いつもより早い午前6時30分に頃には発電機を稼動させ開店。6レーンのうち4レーンを使い、金額・数量ともに制限を付けず、在庫が切れる正午過ぎまで給油を続けた。
同じく白石区のJXTG系SSでは、緊急車両への給油を優先させながら、午後になって一般車両も受け入れ。中央区の出光系SSでは、スタッフ全員を非常招集し、午前中に発電機のメンテなどを行った上で、午後から釣銭の出ない1000円もしくは2000円限定の給油を開始した。
これらSSには給油待ちの車列が、最大で3kmほど連なり、渋滞も誘発したが、大きなトラブルはなかったようだ。配送停止に伴う在庫切れ、スタッフの労働過重、日没後の暗闇の中での安全対策、領収書の発行、デマ情報の拡散など課題が見え隠れする中で、給油待ちの客自ら長い車列の整理に当たるといった「共助」も見られた。
今回のこうしたSSの頑張りは、改めて石油がエネルギー供給の「最後の砦」であることを多くの人達に知らしめたようで、車列に連なっていた男性は「こういう災害の時などは、やっぱり石油に頼るしかないよね」とポツリ。
北海道のガソリン価格予想
7月28日(月)から8月3日(日)まで
価格上昇
上昇のあと、徐々に下げ方向で
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08月05日付掲載予定
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