地震時の対応集約
「最後の砦」改めて証明
2018.10.20
 北海道胆振東部地震やその後の全道域に及んだ大停電で、業界には警察や消防、病院などあらゆる方面から石油製品の供給要請等が舞い込み対応に追われた。北石連(伊藤豊会長)ではそうした各地方石協の対応状況や、そこから見えてきた課題などについて調査を進め、その結果をこのほど「北石連及び各地方石協の対応状況と今後の課題」としてまとめた。文中からは地震直後の切迫した状況や、組合員一丸となった燃料油供給の懸命な努力が読み取れ、事前には想定し得なかった課題なども鮮明に浮かび上がっている。エネルギー供給の「最後の砦」とされる業界の、今後に活かすべき「教訓」がぎっしりと詰まったものとなった。

 「北石連及び各地方石協の対応状況と今後の課題」は、もちろん今後に活かすべき「教訓」となるものだが、地域の防災拠点として機能するSSが防災力の低下を招かないよう、平時から石油製品を安定的に供給できる経営環境を維持することが極めて大切だとの観点から、喫緊の課題でもある官公需対策に活かしていきたいとの思いもにじみ出ている。

 中では、地震発生直後から、北石連には災害時協定を締結している北海道を通し、出先機関や警察、病院などのほか、道と生活物資の支援にかかわる供給協定を締結している「セコマ」への優先供給要請、また、各地方石協にも総合振興局や国の出先機関、市町村、消防、病院、浄水場・下水処理場などへの優先供給要請が相次ぐ中、災害時協定を締結していない機関への供給も含めて「概ね臨機応変な対応ができた」などと総括。その上で「石油がエネルギー供給の最後の砦であることが証明され、地域におけるSSなどの重要性が改めて評価される結果となった」としている。

 ただ、通信手段が携帯電話だけとなって正確な意思疎通ができず、指定場所や時間、数量に行き違いの出たケースが少なくないなど、連絡体制の確立や停電時でも対応可能な通信手段の確保などが検討すべき課題として浮かび上がっている。

 また、災害時協定を締結している相手方に「協定を結んでいるのだから当然だ」といった上から目線、緊急性が疑われるような要請があったといった指摘も。

 このほか緊急配送の要請を受けたことで何とかやりくりし、片道1時間の配送先に向かっている途中、突然いらないと断られ引き返したというものや、指定の時間・場所に行ったものの施錠されていて誰もいなかったという連絡の不徹底に起因するもの、さらには「あすまでに電気が復旧しない場合には再度給油してほしいが、電気が復旧した場合にはいらない」というものや「今はいらないが(燃料を)確保しておいてくれ」といった対応に窮する要請があったことなども明らかになっている。

 今後への課題、改善点としては、各社が有する配送センターなどへの緊急用発電機の設置、厳寒期における災害発生を視野に入れた非常用発電機設置SSの早急な拡充、中核SSや小口燃料配送拠点への優先的な燃料油供給、情報共有や緊急融通などSS間の連携構築、非常用発電機を持たないSSしかない自治体への対応、病院の発電機や移動電源車など大量の燃料油供給が必要な場合への対応などを上げた。

 そうした一方で、多くの需要家から「経験のない停電となったが、非常用発電機を備えたSSが助けてくれた」という感謝の声が出ていたことにも触れている。


北海道のガソリン価格予想
4月29日(月)から5月5日(日)まで
価格下降
仕切り価格値下げのため

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