中小企業の人手不足解消策を考え合ったセミナー
少子高齢化や人口の道外流出、求職者の大手志向、若手従業員の早期離職など、業界を問わず道内中小企業の労働力確保に向けた「逆風」は強まるばかりだが、そうした状況を受けて北海道経済産業局は20日、札幌で「人材活用セミナー」を開催。参加した企業・団体関係者ら90人余りに、女性や外国人、高齢者、障害者など多様な人材を掘り起こし、適材適所で一人ひとりの能力を最大限に発揮させる「ダイバーシティ経営」を提案した。
「多様性(ダイバーシティ)から始める人手不足対策─働く人も、企業も輝く!適材適所の人材活用」をテーマにかぶせたセミナーでは、はじめに道経産局地域経済部地域経済課産業人材政策室の佐藤正幸室長が、セミナー開催の趣旨にも触れながらあいさつ。引き続き協力企業であるVoice Visionの田中和子さんが、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することでイノベーションを生み出し、価値創造につなげる経営」と定義し、多様な価値観や経験のぶつかり合い、多様性の担保が必要なことなどを解説した。
また、障害者の雇用と職業自立を支援し、平成29年度新・ダイバーシティ経営企業100選(経済産業大臣表彰)にも入った北海道はまなす食品の佐藤靖史社長、さっぽろ市民子育て支援宣言企業として女性の活用に力を入れるセラビの時岡一秀社長が講演。
中で佐藤社長は、マニュアルの整備やマンツーマンの指導などで知的障害者の雇用、職域拡大に努めているとし、サポート体制の構築、表示物の活用による作業の見える化、スキルマップやチェックシートの活用など様々な工夫を紹介。
一方で時岡社長は、定着率の向上に向けた残業ゼロや時短に取り組んでいるとし、その上で「コストをかけずにできることから実行している。今は有給休暇をこれまでより多く取らせ、所定休日と合わせて140日以上の休日消化を目指している」などと述べた。
このあと再び田中さんを講師として「人手不足の因数分解」に移り、2人1組となって年齢や性別、国籍、職業経験などが違う架空の8人から2人を採用するワークショップに挑戦。
能力の伸張のため実施すること(適材)や最大限活躍してもらうための配置づくり(適所)を考え、取るべきアクションにつなげていった。