車検メンテ ディーラーと摩擦
SSの「猛攻」に危機感
2016.11.5

ディーラーには警戒感が広がっているという
 SS業界では車検を含むリペア・メンテナンス事業が年々拡大しているが、競合と目されるディーラー関係者からは、警戒感と不信感が入り混じった声が聞こえてくる。新車購入時に顧客と締結するメンテナンス保証の根幹を揺さぶる事例が増えているからだ。また、スキャンツール診断をはじめとした専門技能分野への進出にも、総じて冷ややかな態度を表すディーラー側。その実態と本音から、SS業界の改善点と進むべき方向性が垣間見える。

 「最初の車検時期が近づいてきたので顧客に案内を出したら、すでにSSに申し込んだと言われ驚いた」。

 そう話すのは旭川市内にある自動車メーカー系ディーラーの店長だ。実は新車購入時に車検を含むメンテナンスプランの契約を結んでいたことから、受取金の一部を顧客に返金することになったという。同店長は、最近になって攻勢をかけるSSに警戒感を強め、対策を検討中だ。

 SSに対して不信感を募らせるディーラーもある。定期点検に訪れた顧客がその直前にSSでブレーキパッドを交換したそうだが、「パッドの厚さが3㍉以下でないのに音が出るとかオイルが漏れていると言って交換するのは強引すぎる」と憤りを隠さないのは札幌市内にある地場系ディーラーの店長。顧客にブレーキパッドは保証外であると暗に思わせ交換を勧めたのではないかと疑う。

 スキャンツールを使った故障診断にかかわるトラブルも起きている。函館市内にある自動車メーカー系ディーラーの店長は「故障コードの読み取りはできても、その先の対応ができない。自己診断に基づき修理したのだろうが直せず、より悪化した状態で持ち込まれることもあるので困る」と手厳しい。

 ただ、SSの攻勢に諦めを決め込む一面も。タッチポイントの強みがあるとともに、ガソリンの割引プランなどは顧客にとって魅力的に映るからだ。加えて転勤や引っ越しをきっかけに「顧客と疎遠になる」(道央圏のディーラー店長)といったこともある。

 一方で、ディーラー側はSSに対し現状の改善を訴える。ひとつはガソリン車への軽油の誤給油で「セルフで軽自動車に軽油を間違って入れる人が後を絶たず、救援に駆け付けることも多い。SSは何らかの対策を取ってほしい」(道北圏のディーラー店長)と望む。

 もうひとつはスキャンツールの取り扱い。「スキャンツール診断による修理は熟達したスキルが必要。当面、SSは故障コードの読み取りまでに留めてほしい」(道南のディーラー店長)ようだ。

 SSの改革には、足下の改善と堅実な技術習得の同時進行が求められている。


北海道のガソリン価格予想
4月28日(月)から5月4日(日)まで
価格下降
値戻し後の下げ基調

04月30日付ヘッドライン

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